血液について勉強しよう~赤血球・白血球編~

◇酸素の運送屋【赤血球】

酸素の運送屋と言われる赤血球は、核を持たず、直径約7㎛、厚さ2㎛の中央が凹んだ円盤状(柔軟性に富み、変形しやすい)の形をしています。赤血球の主な成分は、鉄を含むヘモグロビンという色素で、酸素や二酸化炭素はこのヘモグロビンと結合して運ばれます。

また、赤血球は、人体を構成する細胞のなかで最も数が多い約20兆個も占めています。骨髄では毎日2,000億個弱程度の赤血球がつくられていていますが、その寿命は約120日で、寿命が尽きると肝臓や脾臓などでマクロファージにより分解されます。

=血液型=

赤血球の表面にはタンパク質がついていて、これを抗原といいます。血液型とは、抗原によって区別される血液タイプのことで、両親から受け継ぐ遺伝子によって決まります。

〇AB0式血液型(抗原はAとBの2種類)

A型→A抗原がある

B型→B抗原がある

AB型→AとB両方の抗原がある

0型→AとB両抗原がない

〇Rh式血液型(強い反応をするD抗原の有無)

Rh+(プラス)型→D抗原陽性(有り)

Rh-(マイナス)型→D抗原陰性(無し)

◇異物と戦う掃除屋【白血球】

白血球とは、核を持つ無色の血球で、大きく顆粒球、単球、リンパ球の3つに分かれています。(※白血球とは、血球のうち赤血球と血小板をのぞく細胞という意味で、特定の細胞名ではないそう。)
健康的な成人の白血球の数は、血液1立方ミリメートル当たり3,500から9,000個あり、赤血球数に比べ極端に少ないのが特徴です。白血球の大きさは種類によって異なりますが、6~30㎛で寿命は顆粒球で10日前後、リンパ球の大部分は100~200日、一部は3~4日と言われています。

白血球は、カラダのなかに侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を排除することと、1度入った異物に対して免疫を働かせ、カラダを守ります。

白血球の種類

=好中球=
血液を自由に動き回り、異物と戦う白血球たちの代表的存在です。健康な人の血液中に含まれる白血球の約50~70%が好中球と言われています。寿命が10時間~数日と非常に短く、ケガなどをした後に傷口に発生する膿は、細菌との戦いで死んだ好中球の死骸です。

=好酸球=
寄生虫(アニサキスや条虫など)を専門に戦う好酸球(数は全白血球の2~4%程度)です。肥満細胞から出されるサイトカインにより働きが活発になります。また、好酸球は、アレルギー反応を抑える働きをしています。

=好塩基球=
白血球の中でも数が少なく、白血球全体の0.5%程度と言われています。好塩基球にはヒスタミンが含まれていて、アレルゲンに反応して放出されると、アナフィラキシーショック、蕁麻疹、気管支喘息などを引き起こしてしまいます。ちなみに、この働きを抑えてくれるのは好酸球です。

=単球=
直径は20~30㎛と白血球の中では大きく、細菌などの異物をみつけると血管の外に出て、マクロファージに変身し、アメーバのような動きで異物を食べて排除します。マクロファージ同様、異物を排除する樹状細胞は、異物の特徴を覚え、ほかの白血球に指示を出して動かす働きがあります。

=リンパ球=
全白血球の20~40%を占めるリンパ球は、免疫機能の中心的存在です。円い細胞で大きさは非常に小さく6~15㎛です。同じリンパ球でも役割・機能が異なりT細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)と3種類あります。

〇T細胞
リンパ球のうち胸腺で分化して血液中に出てくる細胞です。T細胞のTとは、胸腺「Thymus」の頭文字です。役割によってヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞、制御性T細胞といった種類があります。

〇B細胞
リンパ球のうち抗体をつくる能力がある細胞です。ヘルパーT細胞の指示で抗体をつくります。

〇NK細胞
ヘルパーT細胞の指示を受けなくても、感染細胞やがん細胞を壊す働きを持っています。NK細胞を活性化する力がある「神経ペプチド」という物質は、笑うことで分泌されます。

●記憶細胞

メモリー細胞ともいいます。免疫の記憶を持ったB細胞、T細胞のことです。基本的に一度働いたB細胞、T細胞は、1~2週間で死んでしまいますが、一部は生き残り、同じ異物が侵入したときに再び活動するようになります。特にメモリーB細胞は、抗体づくりのスピードが2倍、量は3倍ほどにもなります。
記憶細胞になると、おおよそ10年、長くて80年ほど生きることもあるとか・・・。

血液について勉強しよう~血小板・血漿編~ に続く

<参考文献>
世界一やさしい!細胞図鑑 鈴川茂監修
新版からだのしくみカラー事典 垣内義亨監修
運動・からだ図解 免疫学の基本 松本健治監修

<関連コラム>
血液について勉強しよう~血液の基礎編~