血液について勉強しよう~血液の基礎編~


◇血液
血液は、カラダの中を縦横無尽に流れており、その量は成人で体重の7~8%占めるといわれています。例えば体重50kgの女性ですと3.5ℓ~4.0ℓ、体重70kgの男性ですと5.0ℓ~5.5ℓ 程度がその人の血液量という計算になります

=血液の働き=

〇酸素を運び二酸化炭素の回収
〇栄養(糖、アミノ酸、タンパク質など)を全身に運搬
〇外部から侵入してきた菌やウイルスを退治
〇体温の調整
〇代謝老廃物を肺、腎臓、肝臓、皮膚、腸管などの器官に運搬
〇ホルモンの運搬
〇水分代謝を調整し、血圧や浸透圧などをコントロール
〇止血

=血液の構成=

血液は、ほとんどが水でできている液体成分である血漿と、かたちを持っている有形成分(細胞成分)である血球からできています。

=血液の産生=

細胞成分である血球は、骨髄にある多能性造血幹細胞が分化することでつくられます。
骨髄は骨の中の空洞につまっていて、造血の機能を持つ骨髄を赤色骨髄と言うそうです。
若齢期は全身の骨髄で血液が造られますが、加齢とともに造血機能を失っていきます。大人の場合、造血を行う骨髄は、骨盤、肋骨、胸骨、頭蓋骨など体幹の骨だけになります。

〇造血幹細胞

造血幹細胞は、血をつくる幹細胞です。細胞分裂を行いながら、さらに分化というほかの種類の細胞に変化するはたらきで、赤血球や血小板、白血球といったすべての血球をつくり出しています。また、造血幹細胞はほかの細胞と比べて細胞分裂をする能力がとても高く、細胞分裂に制限がありません。(他の細胞は細胞分裂ができる回数が決まっており、それが終わると死んでしまいます。)加齢などで多少能力が衰えることはあっても、人間が生きている間はずっと細胞分裂と分化を繰り返しています。

=血液の色=
血液が赤く見えるのは、赤い色をした赤血球の数が多いためです。
赤血球は血液1μℓに500万個以上も存在しています。
(血小板は30万個、白血球は8,000個程度です。)
ちなみに、赤血球をすべて除いた血液は、薄い黄色をした透明の液体になります。

=血液を運ぶ血管=

全身を巡る血管の全長は約10万㎞(地球2周半!)です。
血管には、血液を心臓から末梢へ送り出す動脈、血液を末梢から心臓へ送り返す静脈、動脈と静脈をつなぐ毛細血管の3種類があります。血液は、約30秒~1分間という速さで全身を一周しています。

〇動脈
動脈は、心臓の左心室から送り出された、酸素と栄養素を含む血液(動脈血)を体の末梢へ送るための血管です。動脈の中で最も太い血管は心臓から出ている大動脈で、そこから肩を通る鎖骨下動脈、頭を通る総頚動脈、骨盤を通る腸骨動脈、太ももや膝を通る大腿動脈などに分岐しています。

〇静脈
静脈は、全身の細胞から二酸化炭素と老廃物を取り込んだ血液を、心臓の右心房へ送り返すための血管です。下肢の血液を集める尺側皮静脈、脳や頭部からの血液を集める内頸静脈などが合流して、上大静脈と下大静脈の2本の太い血管となって右心房に戻ります。

〇毛細血管
毛細血管は赤血球がやっと通れるくらいの細さで、動脈と静脈の間をつないでいます。動脈血が運んできた酸素や栄養素は、毛細血管から外に出て周囲の細胞に渡され、細胞から出てきた老廃物や二酸化炭素を回収し、静脈血となって心臓に戻ります。

血液について勉強しよう~赤血球・白血球編~ に続く

<参考文献>
世界一やさしい!細胞図鑑 鈴川茂監修
新版からだのしくみカラー事典 垣内義亨監修
運動・からだ図解 免疫学の基本 松本健治監修