
あなたはお酒に強いですか?弱いですか?
人によってお酒に強い人、弱い人、まったく飲めない人がいます。いったい何が違うのでしょうか?
◆目次◆
1.アルコール分解の仕組み
2.アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)とは
3.人種による違い
4.都道府県による違い
5.年齢・体格の違い
6.まとめ
1.アルコール分解の仕組み

一般的にお酒に強い弱いは、アルコールの分解の速さと考えられています。
アルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によって、発がん性のあるアセトアルデヒドに、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって、酢酸に分解されます。
酢酸は血液によって全身を巡り、二酸化炭素と水に分解されて尿とともに体外に排出されます。
この時に処理しきれなかったアルコールは、血管に入り心臓に向かい全身を回って、脳にも到達し、やがて顔が赤くなったり、気持ち悪くなったり、眠気におそわれたりといわゆる酔いをひきおこします。次の日になっても分解されない場合が二日酔いにあたります。
2.アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)とは

アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)は下記のように2種類存在します。
ALDH1・・・血中アセトアルデヒドが高濃度にならないと働かない酵素
ALDH2・・・血中アセトアルデヒドが低濃度時点で働く酵素
このALDH2の活性が弱いとアセトアルデヒドが分解されず、お酒に弱い体質になります。また、このALDH2の活性は遺伝子により各自異なり、両親から受け継ぐので生まれつきの体質になります。
お酒を飲めない人が、訓練して多少は飲めるようになっても、遺伝ですので強くなることはないと考えられています。ただし、多少飲めるようになっても、数週間お酒をやめると元の状態に戻ってしまうそうです。
飲酒をコントロールできなくなるアルコール依存症は、お酒に強い体質の人がなりやすいので注意が必要です。
【ALDH2活性遺伝子の型】
NN型・・・ALDH2型の正常活性遺伝子型(お酒に強い)
ND型・・・NN型の16分の1の活性しかない遺伝子型(ある程度は飲める)
DD型・・・ALDH2の活性がない遺伝子型(ほとんど飲めない)
3.人種による違い

人類はもともとお酒に強いNN型でしたが、黄色人種の中に突然変異によって、ALDH2の活性を無くした人が現れました。
そして、時代が進み、日本人など東アジアのモンゴロイド系にお酒に弱い人が増えていきました。
モンゴロイド系の中でも弥生人の遺伝子を受け継いでいる人はお酒に弱いと言われています。ちなみに黒人、白人にはALDH2不活性型は見られません。
縄文系・・・目が二重で眉毛が濃く、彫が深く比較的顔が大きい。
弥生系・・・目が一重で眉毛は薄く、彫は浅く顎はシャープで顔は面長。
【ALDH2不活性の割合】
| 日本人・・・44% | 中国人・・・41% |
| タイ人・・・10% | フィリピン人・・・13% |
| ヨーロッパ系白人・・・0% | アフリカ系黒人・・・0% |
| 北アメリカインディアン・・・0~4% |
4.都道府県による違い

日本列島の北や南の県の人は強く、中部に位置しているほどお酒に弱い県が多くみられます。
お酒に強い県ベスト10
| 順位 | 都道府県 | 遺伝子頻度 | NN型(%) | ND型(%) |
DD型(%) |
| 1 | 秋田県 | 0.876 | 76 | 23 | 1 |
| 2 | 岩手県 | 0.845 | 73 | 23 | 4 |
| 3 | 鹿児島県 | 0.845 | 76 | 20 | 4 |
| 4 | 福岡県 | 0.843 | 70 | 29 | 1 |
| 5 | 栃木県 | 0.820 | 70 | 24 | 6 |
| 6 | 埼玉県 | 0.813 | 68 | 27 | 5 |
| 7 | 北海道 | 0.805 | 66 | 29 | 5 |
| 8 | 沖縄県 | 0.805 | 66 | 29 | 5 |
| 9 | 熊本県 | 0.802 | 66 | 28 | 6 |
| 10 | 高知県 | 0.800 | 63 | 34 | 3 |
お酒に弱い県ベスト10
| 順位 | 都道府県 | 遺伝子頻度 | NN型(%) | ND型(%) |
DD型(%) |
| 1 | 三重県 | 0.630 | 36 | 54 | 10 |
| 2 | 愛知県 | 0.643 | 41 | 47 | 12 |
| 3 | 石川県 | 0.673 | 45 | 44 | 11 |
| 4 | 岐阜県 | 0.690 | 48 | 42 | 10 |
| 5 | 和歌山県 | 0.705 | 52 | 37 | 11 |
| 6 | 大分県 | 0.715 | 51 | 41 | 8 |
| 7 | 広島道 | 0.727 | 49 | 48 | 3 |
| 8 | 大阪県 | 0.728 | 54 | 37 | 9 |
| 9 | 奈良県 | 0.730 | 57 | 32 | 11 |
| 10 | 岡山県 | 0.737 | 52 | 44 | 4 |
※『筑波大学技術報告 第31号・2011年9月8日』(「お酒やコーヒーなど日常的飲み物と日本人の遺伝子」筑波大学医学系技術室 中村貴子)より

5.年齢・体格の違い
加齢により、肝臓の機能が落ち、アルコールを分解するスピードが遅くなっているためと考えられます。
また、女性は男性よりも分解スピードが遅いと言われています。
体格の違いでも、肝臓でアルコールが分解される時間は違います。一般的に成人体重で1kgに対し約0.1g/1時間です。
缶ビール350ml(アルコール5%)ですと、350ml×5%=17.5gになります。
体重50kgの人の場合、1時間に5gの分解になるので、約3時間30分かかります。
6.まとめ

人類はもともとみんなお酒に強かったことにびっくりです。
福岡県人の私ですが、あらためて周りをみると、お酒を飲めない人より飲める人の方が圧倒的に多いです。
お酒を飲めない私は、飲める人がとてもうらやましいですが・・・
コロナの緊急事態宣言が解除された今、飲みに行くことも増えるでしょうが、無理してお酒を飲んだり、勧めたりせず、自分にあった楽しいお酒にしましょう。
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