とても大切なビタミンの話 後編

ビタミン後1

前回は「とても大切なビタミンの話 前編」でした。
今回は、13種類のビタミン「水溶性ビタミン編」です。

◆目次◆

1.13種類のビタミン(水溶性ビタミン編)

⑤ ビタミンB1

⑥ ビタミンB2

⑦ ナイアシン

⑧ ビタミンB6

⑨ ビタミンB12

⑩ 葉酸

⑪ パントテン酸

⑫ ビオチン

⑬ビタミンC

2.まとめ

1.13種類のビタミン(水溶性ビタミン編)

ビタミン後2

⑤ビタミンB1

ビタミンB1の成分名はチアミン(またはサイアミン)といい、炭水化物をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。ビタミンB1は脚気予防の研究の過程でもっとも早く発見されたビタミンで、1910年、鈴木梅太郎氏が米糠から抽出し、オリザニンと名付けたことでも知られています。後にヨーロッパでつけられたビタミンの名が世界的に定着しました。
・体内での働き・・・炭水化物の代謝促進・神経機能の維持・疲労回復
ビタミンB1が欠乏すると・・・エネルギーが不足して疲れやすくなったり、イライラしたりします。慢性的に不足すると脚気やヴェルニッケ脳症などを発症します。
過剰症・・・発症しにくいビタミンです。ただし、サプリメントからの大量摂取による頭痛や皮膚炎などがみられたという報告があります。
・多く含まれる食品・・・豚肉、レバー、ウナギ、タイ、タラコ、玄米、全粒粉、カシューナッツ、ピスタチオ、えのきたけ、豆類、大豆製品など

⑥ビタミンB2

ビタミンB2の成分名はリボフラビンで、黄色い色素の成分です。水溶性ビタミンですが、水に溶けにくいと知られています。牛乳から発見されたビタミンですが、すべての動植物に含まれます。リボフラビンは通常、補酵素として働くフラビンモノヌクレオチド(FMN)またはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)という形で存在しています。
また、栄養ドリンク剤の色が黄色いのも、ビタミンB2のリボフラビンに由来しているそうです。
・体内での働き・・・3大栄養素の代謝の促進・細胞の再生、新生・成長促進・抗酸化作用
ビタミンB2が欠乏すると・・・口内炎や口角炎、脂漏性皮膚炎を起こします。成長期の子供では成長障害を起こすことがあります。
過剰症・・・必要以上のものは排泄されるため、ほとんど起こりません。
・多く含まれる食品・・・豚レバー、牛レバー、鶏レバー、ウナギ、サバ、まいたけ、モロヘイヤ、卵、納豆など

⑦ナイアシン

ナイアシンはビタミンB群の一種で、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称です。植物性食品からニコチン酸を、動物性食品からはニコチン酸アミドを摂取することができます。ナイアシンは、アミノ酸の一つであるトリプトファンからも、体内でナイアシンが合成されるため、トリプトファンもナイアシンとして認められています。ただし、トリプトファンがもつナイアシンとしての効力は、ニコチン酸やニコチン酸アミドの1/60とされているそうです。ちなみに、ニコチン酸とタバコに含まれるニコチンは別物です。
・体内での働き・・・多くの酵素の補酵素になる・3大栄養素の代謝の促進・アルコール代謝の促進
ナイアシンが欠乏すると・・・日本ではまれですが、皮膚炎、下痢、神経障害を起こすペラグラという欠乏症になります。また、アルコール依存症患者にナイアシン不足がみられることがあります。
過剰症・・・通常の食事から過剰症になることはほとんどありませんが、一度に大量摂取すると血管が拡張して皮膚が赤くなったりかゆみを起こしたりします。胃腸障害、肝機能障害などを起こすこともあります。
・多く含まれる食品・・・カツオ、マグロ、イワシ、サバ、豚レバー、牛レバー、鶏胸肉、鶏ささみ、ピーナッツ、アーモンド、えのきたけ、エリンギなど

⑧ビタミンB6

ビタミンB6は皮膚炎を予防することから発見されたビタミンです。ビタミンB6の作用をもつ成分はピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンの3種で、生鮮食品中では、通常、リン酸やたんぱく質と結合した状態で存在しています。調理や消化の過程で分解・吸収されていきます。
女性は積極的にビタミンB6の摂取をおすすめします。なぜなら、月経前症候群やつわりは、ビタミンB6を摂ると症状がやわらぐといわれているそうです。これには女性ホルモンのエストロゲンが影響しており、エストロゲンの代謝にはビタミンB6が必要だからです。お悩みの方はビタミンB6を摂ってみてはいかがでしょうか。
・体内での働き・・・多くの酵素の補酵素となる・たんぱく質やアミノ酸の代謝の促進・エネルギー産生・成長促進
ビタミンB6が欠乏すると・・・通常はみられませんが、月経前症候群の人は、ビタミンB6不足がみられたという報告もあるそうです。
皮膚炎や口角炎、脂漏性皮膚炎、貧血、神経症状などが起こります。
過剰症・・・薬やサプリメントで一度に大量に摂取したり、長期間過剰に摂取したりすると、神経障害などを起こす恐れがあります。
・多く含まれる食品・・・マグロ、カツオ、サケ、サバ、サンマ、牛レバー、鶏ささみ、にんにく、赤ピーマン、モロヘイヤ、くるみ、ごま、玄米、そば、バナナなど

⑨ビタミンB12

ビタミンB12はアデノシルコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキシコバラミン、シアノコバラミンがあります。総称してコバラミンといわれています。ミネラルの一種であるコバルト(※)を含み、深紅の結晶となるため、「赤いビタミン」ともいわれます。食品中のビタミンB12はたんぱく質を結合しており、胃の中で変性・分解され、やがて腸で吸収されます。また、ビタミンB12は、微生物によって合成されるため、原則的に動物性食品にしか含まれないそうです。例外的に海藻類にB12を含むものもあります。極端な偏食、完璧な菜食主義の人は不足する可能性があります。
※コバルトとは、ビタミンB12の構成成分として必須のミネラル成分です。
・体内での働き・・・造血作用・核酸の合成促進・神経細胞の機能維持・脂質代謝
ビタミンB12が欠乏すると・・・造血機能が低下して悪性貧血を起こします。神経系の働きが悪化して神経障害やうつ病などになりやすくなります。
過剰症・・・過剰に摂取しても必要以上に吸収されません。
・多く含まれる食品・・・シジミ、アサリ、カキ、サンマ、牛レバー、鶏レバー、豚レバー、チーズ、のりなど

⑩葉酸

葉酸はビタミンB群の一種です。プテリジン、パラアミノ安息香酸、グルタミン酸が結合したもので、プテロイルグルタミン酸が成分名です。植物の葉に多く含まれており、ほうれん草から発見されました。ビタミンB12とともに赤血球を作るので「造血のビタミン」といわれているそうです。また、葉酸は胎児の発育に重要だと、注目されているビタミンになります。
・体内での働き・・・DNAの合成促進・赤血球の合成・発育促進・動脈硬化予防
葉酸が欠乏すると・・・通常不足する心配はほとんどありませんが、巨赤芽球性貧血を起こすことがあります。妊娠初期は胎児に神経管閉鎖障害を起こすことがあります。
過剰症・・・通常の食生活ではほとんどありません。薬やサプリメントの大量摂取による、発熱、じんましんなどがおこる場合もあります。
・多く含まれる食品・・・菜の花、枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、春菊、いちご、マンゴー、納豆、のり、わかめ、鶏レバー、牛レバー

⑪パントテン酸

パントテン酸はビタミンB群の一種で、以前はビタミンB5と呼ばれていました。多くの食品に含まれており、「至る所に存在する酸」という意味で名づけされたそうです。また、食品から摂取するほかに、体内では腸内菌によって合成もされます。パントテン酸の重要な働きは、コエンザイムAの構成成分になる点です。コエンザイムとは補酵素のことで、3大栄養素のエネルギー代謝の過程で非常に多くの酵素をサポートします。
・体内での働き・・・コエンザイムAの構成成分になる・エネルギー代謝に関与・ホルモンの合成に関与
パントテン酸が欠乏すると・・・通常の食生活ではめったにありません。
成長停止や体重減少、手足の知覚異常、副腎障害などがおこることがしられています。
過剰症・・・通常ほとんどありません。ただし、薬やサプリメントでの大量摂取による、吐き気や食欲不振の報告もあります。
・多く含まれる食品・・・鶏レバー、豚レバー、牛レバー、鶏ささみ、サケ、イワシ、卵黄、納豆など

⑫ビオチン

ビタミンB群の一種で、オランダの研究者ケーグルが、酵母の増殖に必要な因子として発見しました。ビタミンB7とも呼ばれています。また、その昔、マウスによる研究により、皮膚の炎症を防止する因子として発見されたことからビタミンHと呼ばれたこともあります。ビオチンは、腸内菌によって合成されますが、必要量に満たないためビタミンと認められています。ビオチンは、抗炎症物質を生成し、アレルギー症状を緩和するといった効果も期待されているそうです。
・体内での働き・・・カルボキシラーゼの補酵素になる・3大栄養素の代謝に関与・皮膚の健康維持
ビオチンが欠乏すると・・・通常はみられませんが、腸内菌の働きが弱い乳児に皮膚炎などが起こることがあります。また、乾燥肌などの皮膚トラブルが起こります。
過剰症・・・過剰に摂取しても尿として排出するので、通常はみられません。
・多く含まれる食品・・・ピーナッツ、納豆、ゆで大豆、卵、鶏レバー、まいたけ、えのきたけなど

⑬ビタミンC

ビタミンCは壊血病(※)を予防する成分としてオレンジ果汁から発見されました。化学名はアスコルビン酸と名付けられています。ビタミンCは、食品でもサプリメントでも効果に違いはないといわれているそうです。また、ヒトやサル、ウシなどの動物は体内で合成できないため、食事やサプリメントから摂取しなければなりません。
ビタミンCは水に溶けやすいうえ、熱や光に弱く、酸化しやすいため、保存中や調理中に失われやすい成分です。また、一度にたくさん摂取しても体内には蓄積されず、体外に排出されてしまいます。効果を持続させるには、毎食、補給するのが好ましいです。
ビタミンCは、強い抗酸化作用をもち、とくにLDLコレステロールの酸化を防いで血管疾患を予防するといわれているそうです。
※壊血病とは、ビタミンC不足のため、コラーゲンが合成されず、血管がもろくなり、出血性の障害が体内の各器官で生じる病気です。
・体内での働き・・・コラーゲンの合成促進・LDLの酸化防止・ホルモンの合成促進・鉄の吸収促進
ビタミンCが欠乏すると・・・細菌などに対する抵抗力が下がり風邪などにかかりやすくなります。皮下や歯茎から出血する壊血病を起こします。子供の場合は骨の成長が悪くなることがあります。
過剰症・・・過剰に摂取しても吸収率が低下し、尿から出てしまうので、ほとんどありません。ただし、薬やサプリメントなどでは、吐き気、下痢、腹痛など胃腸への影響が報告されています。
・多く含まれる食品・・・赤ピーマン、菜の花、ブロッコリー、かぶの葉、カリフラワー、にがうり、レモン、甘柿、キウイフルーツ、いちご、ネーブルオレンジ、じゃがいも、さつまいもなど

4.まとめ

ビタミン後3
2週続けてビタミンの話でした。
たかがビタミン、されどビタミン。大変興味深いものでした。私は、ビタミンは体に良いのだからと結構大量にみかんなど食べていたのですが、吸収され有効活用されていたのかは不明です。なんでもほどほどが丁度いいのかも知れませんね。
生物にとって必要不可欠な栄養素、私の探究心をくすぐるものがまだまだでてくるでしょう。ひとつひとつ解き明かしたいものです。

主要参考文献
からだにおいしい あたらしい栄養学(吉田企世子・松田早苗監修 高橋書店)