最近、「人食いバクテリア」の感染者が増えてきているというニュースを見ました。
B級ホラー映画のタイトルみたいな名前ですが、どういったものなのでしょうか。
◆目次◆
1.致死率30%!?人食いバクテリアの正体
2.発症のメカニズム
3.予防策
4.まとめ
1.致死率30%!?人食いバクテリアの正体
溶連菌(※)感染症の中には人食いバクテリアとも呼ばれている「劇症型溶血性連鎖球菌感染症」というものがあり、非常に重篤な細菌感染症で、英語名のStreptococcal Toxic Shock Syndrome」の頭文字をとって「STSS」と医療の世界では呼ばれているそうです。
劇症型溶血性連鎖球菌感染症の原因のひとつは「A群溶血性連鎖球菌」で、短く略して“A群溶連菌”や“溶連菌”とも呼ばれます。
子供が罹りやすいことで知られ、感染すると発熱(38~39℃)や喉の痛み、体や手足に小さい赤い発疹、舌がイチゴのようなブツブツが出て、一般的な風邪と違って咳や鼻水が出ないという特徴があります。
さて問題の劇症型溶血性連鎖球菌感染症ですが、健康的な人でもまれに発症しその恐ろしさは症状の進行の速さにあります。
発熱、手足の痛みから始まり、菌があっという間に全身へと広がり、発症後数日以内に血管や神経などが壊死し、あちこちの臓器に障害を起こして、ショック症状になり死亡することが多いそうです。
子供から大人まで広範囲の年齢層に発症し、とくに30歳以上の大人に多いのが特徴のひとつで、いつもと違う異変に気づいたら早急に病院にいきましょう。
劇症型溶血性連鎖球菌感染症で特徴的な症状は「痛み」で多くは四肢におこります。
そして、24時間~48時間たたないうちに血圧が上昇して急速に肺や腎臓、肝臓を中心とした多数の臓器が機能不全に陥ります。
また、皮膚が侵入経路になった場合、非常に特徴的な軟部組織感染症がでてきます。
皮膚や皮下脂肪は黒ずみ壊死が進行し、緊急で処置をしなければならない状態になることもあります。
2.発症のメカニズム
溶血性連鎖球菌が劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS)にまで至ってしまう発症のメカニズムは完全には分かっていないそうです。
一般的には連鎖球菌感染症と連鎖球菌により発生する毒(エンテロトキシン)に対しての宿主の過剰な反応の「連鎖」が高い致死率を生み出しているといわれています。
また、STSS患者のほぼ半数については、どのように体内に侵入したのかわかりませんが、主に以下の感染経路から体内に侵入することはわかっているようです。
〇ケガや手術による傷口などの皮膚の傷口から侵入する経路(接触感染)
〇喉や鼻の内側の粘膜から侵入する経路(飛沫感染)
そのため、
〇最近手術をした人
〇帯状疱疹や水疱瘡のように皮膚に潰瘍をつくるウイルス感染を直近で来した方
〇糖尿病やアルコール障害のように感染抵抗力の弱い方など
は特に溶連菌感染に対して注意が必要です。
3.予防策
劇症型溶血性連鎖球菌感染症にならないための予防策を考えてみます。
特に以下に気をつけるとよいかもしれません。
◎傷口
・傷口を処置する際には手を洗い、アルコールベースの消毒剤を使用すること
・創部は石けんと流水で清潔に保つこと
・傷口には包帯や絆創膏をもちいてきちんと保護をすること
・深い傷や感染性のある傷の場合は、自己判断で行わず必ず医療機関に相談すること
◎強い喉の痛み
原因菌である溶連菌は喉の痛みの原因菌でもあり、主に、高い発熱や強い喉の痛みを特徴とする疾患です。
また、溶連菌咽頭炎の場合は、感染して症状が強くでると抗生剤治療なしではなかなか治りにくく、合併症が非常に多いのも特徴の1つです。
◎日頃の感染対策
溶連菌も主な感染経路は飛沫感染と接触感染ですので普段の感染対策は十分効果があります。
・手をきちんと洗う
・溶連菌感染者と接触する際は、マスクをきちんとする
特に発症リスクが高くなる基礎疾患(ガン、糖尿病、慢性心疾患、慢性呼吸器疾患など)を持つ人は、必要に応じて対策を行いましょう。
4.まとめ
どんな感染症でも基礎疾患があると発症リスクや重篤な状態に陥るリスクが高まると思います。
当たり前のことですが生活習慣を整えて基礎疾患からなるべく遠ざかることが最大の防御方法だと思いました。
また、どんな情報もそうですが、正しく知って正しく怖がりましょう。
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