
肝臓は、人体で最大の臓器です。重さにすると体重の約50分の1にあたり、脳よりも重いのです。
肝臓の役割は、例えるなら体の総合化学工場で、常時500種以上の複雑な機能を同時にこなしています。主な働きは、栄養素を取り込んで分解・合成して身体に役立つ形につくりかえて全身に送り込んでいます。
恐ろしいことに自覚症状があらわれたときには症状は悪化していて、沈黙の臓器と言われています。
◆目次◆
1.肝臓の働き
2.肝臓の不調
3.肝臓をいたわろう
4.まとめ
1.肝臓の働き

肝臓は、栄養素の代謝や貯蔵、赤血球やアルコールの分解、解毒作用などを担っている私たちの生命を維持するために欠かせない臓器です。
・栄養素の代謝
肝臓は、栄養素をブドウ糖やコレステロールなどに再合成して全身の組織に供給しています。
・栄養素の貯蔵
肝臓は、血液のもとなどになる鉄や、ビタミン類、アミノ酸、グリコーゲンなどを貯え、必要なときに血液中に放出しています。
・赤血球の分解
肝臓は、古くなった赤血球のヘモグロビンを分解して、胆汁の材料をつくっています。
・アルコールの分解
肝臓は、酵素の働きでアルコールを分解して、対外に排出できる形につくりかえています。
アルコールは肝臓の酵素でアセトアルデヒドに変化し、さらに酢酸に分解されます。
酢酸は血液によって全身をめぐり、二酸化炭素と水に分解され尿とともに対外に排出されます。
飲む量が多すぎたり、飲むスピードが速すぎたりすると、分解しきれなかったアセトアルデヒドが残り、悪酔いや二日酔いの原因になります。
・解毒作用
肝臓は、アンモニアなどの有害物質や細菌などを無害化しています。
2.肝臓の不調

肝臓の病気は自覚症状が少なく、重症になってから見つかる場合が多いとされています。
全身の倦怠感や食欲不振、黄疸などの症状は肝臓の不調が原因の場合があります。
・脂肪肝
肥満や糖尿病などで代謝機能が低下すると脂肪が大量に貯まる脂肪肝となり、肝臓が肥大化してしまいます。
・アルコール性肝障害
アルコールを摂りすぎて肝臓に障害が起きることをアルコール性肝障害といい、中性脂肪が貯まるアルコール性脂肪肝、肝細胞が壊死したり変性したりするアルコール性肝炎などがあります。
・急性肝炎
肝炎ウィルスによる肝細胞の障害で、A型、B型、C型、D型、E型の肝炎ウィルスの感染によるものがあります。
・肝硬変
肝臓に炎症が起こった結果、肝臓に線維化が起こり硬くなった状態をいいます。
特にウィルス性肝炎が慢性肝炎に進行して肝硬変に至る場合が多くあります。
C型肝炎では肝硬変に進行するのに10~30年を要するため高齢者に肝硬変が多く見られます。
3.肝臓をいたわろう

・お酒は適量をほどほどに
適度な飲酒は血行を良くしたり、気分をリラックスさせるなど健康にプラスですが、飲みすぎは肝臓への負担が大きいため、お酒は適量で楽しみましょう。
アルコール性脂肪肝やアルコール性肝炎であれば、飲酒量の調節や一時的な禁酒によって、肝機能が改善する場合もあります。
・お酒が強いから肝臓も強いは間違い
アルコールは肝臓の酵素でアセトアルデヒドに変化します。アセドアルデヒドはアルコールよりも毒性が強く、頭痛や吐き気はこのアセドアルデヒドによるものです。
アセドアルデヒドを処理する酵素がアセドアルデヒド脱水素2(ALDH2)です。
ALDH2は分解能力が高いN型と低いD型があり、両親から一個ずつ受け継ぎ、NN型(お酒に強い人)、ND型(そこそこ飲める人)、DD型(お酒に弱い人)に分かれます。
日本人の場合、NN型約45%、ND型約45%、DD型約10%と言われています。
お酒が強い、弱いは遺伝的に決まっているわけです。
このように、お酒が強い弱いはアセドアルデヒドの処理能力の違いであって、肝臓への負担は変わりませんので、お酒が強い人ほど肝臓をいたわる必要がありそうです。
・1日3回規則正しく食べよう
食事を規則正しく摂ることは、体に備わっている生体リズムを整え、栄養バランスをとるためにとても大事です。朝食を摂らない場合、午前中の活動エネルギーが足りなくなります。
そうなると、肝臓を機能させるためのグリコーゲンが不足し、肝臓の働きが低下してしまいます。炭水化物は体内に入ると、その一部がグリコーゲンに変えられ、肝臓に貯蔵し肝臓の活動を支えるエネルギーとなります。
ただし、夜遅くの食事や、炭水化物を摂りすぎると、中性脂肪が作られ、肝臓にたまり脂肪肝となる可能性があります。その他加工食品や塩分の取りすぎにも注意しましょう。
食欲がない時は体や肝臓が疲れている証拠なので、無理して食べないようにしましょう。
4.まとめ

運動をせずに、食事だけのダイエットや、肥満などでも脂肪肝になる可能性があります。
お酒を飲めないから肝臓の病気は関係ないと思っていました。規則正しい生活をおくることが大事ですね。
<参考資料>
新版 からだのしくみカラー事典 垣内義亨 主婦の友社 2016年
肝機能は改善できる 泉並木
