脂質、脂肪酸の話(その1)

脂質には中性脂肪、コレステロール、高カロリーなどちょっと健康的にネガティブな印象がありますが、脂質は糖質やたんぱく質とともに私たちのエネルギー源であり細胞膜や細胞内の核膜など生体膜の成分やホルモンの材料となる重要な栄養素です。

◆目次◆

1.脂質と脂肪酸

2.脂質の消化と吸収

3.脂質の代謝

4.コレステロール

5.まとめ

1.脂質と脂肪酸

脂質は水に溶けず有機溶媒に溶ける成分で、単純脂質、複合脂質、誘導脂質に大別されます。
ヒトの体の細胞や血液中に存在し体を動かすための大切なエネルギー源で1グラムあたり9キロカロリーのエネルギーを生み出します。
単純脂質はグリセロールと脂肪酸が結合したもので、その代表格はトリアシルグリセロール(中性脂肪)で、食事から摂る脂質の大半がトリアシルグリセロールになります。
複合脂質はグリセロールと脂肪酸にリン酸や糖が結合したもので細胞膜やリボたんぱく質の材料となるリン脂質が代表的です。
誘導脂質は単純脂質と複合脂質の加水分解から作られ、コレステロール、脂溶性ビタミン類などがあります。

2.脂質の消化と吸収

食事から摂る脂質はその大半がトリアシルグリセロール(中性脂肪)で水に溶けないためそのままでは消化できず、十二指腸で胆汁酸などによって脂肪酸とグリセロールに分解されます。
その後、小腸から吸収され血中で流れやすいように水溶性たんぱく質と結合してカイミクロンというリボたんぱく質に変化します。
カイミクロンはコレステロールや脂溶性ビタミンなども取り込み、リンパ管を経由して血液に入り全身を巡り細胞内でトリアシルグリセロールに再合成され使用されます。
一方、中性脂肪の中でも分子に8~12個の炭素を持つ中鎖トリアシルグリセロールはリパーゼによって中鎖脂肪酸とグリセロールに分解されそのまま小腸から吸収され門脈より肝臓に運ばれます。

3.脂質の代謝

細胞内で再合成されたトリアシルグリセロールは身体の各組織で使われ余ったものが脂肪細胞として貯蔵されます。
余ったトリアシルグリセロールは基本的には脂肪を蓄えることが得意な白色脂肪細胞(皮下や内臓周辺に存在する)ですが、脂肪を燃やすことが得意なベージュ脂肪細胞や褐色脂肪細胞もあります。
ベージュ脂肪細胞は皮下に存在していて白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変換することで体脂肪が分解しやすくなるとされています。
褐色脂肪細胞は首、わきの下、背骨周辺に存在していて寒い時に体温を保つなどの働きがあります。
貯蔵されたトリアシルグリセロールは必要に応じてグリセロールと脂肪酸に分解され、脂肪酸はさらに分解されてエネルギーを産生したりケトン体(本来、全細胞で利用できるエネルギー源で脳にとってはブドウ糖よりも優れているエネルギー源。但し先天的にケトン体を利用できない人もいる)を合成したりします。
一方、肝臓でもトリアシルグリセロールやコレステロールの合成が行われ、超低比重リボたんぱく質によって運ばれて脂肪細胞や筋肉に蓄えられています。

4.コレステロール

この運搬途中で一部がLDL(低比重リボたんぱく質、悪玉コレステロール)となって細胞膜の構成に必要なコレステロールを末梢組織に運びます。
末梢組織で余剰になったコレステロールはHDL(高比重リボたんぱく質、善玉コレステロール)によって肝臓に戻されます。
コレステロールであるLDLとHDLは身体を維持する上でとても重要な物質で細胞膜の成分となったり副腎皮質ホルモンやビタミンD、胆汁酸などの原料になるなどの役割があるのですが悪玉コレステロール、善玉コレステロールなどとも呼ばれ一般に健康に悪いと誤解されている面があると思います。
血中にHDL(善玉コレステロール)が多いと余剰のコレステロールが多く回収され動脈硬化の予防になると考えられているからではと思われます。
1日に食べる卵の数を制限するなどコレステロールの摂取を控えることは当たり前でしたが現在では食品中のコレステロール量の上限設定はなくなっています。
食べるコレステロールを控えると肝臓がコレステロールを合成して血中に放出し食べるコレステロールを増やすと肝臓がコレステロールの合成を抑えるからです。

5.まとめ

脂質はとても大切な栄養素です。
その2ではできるだけたくさんの脂質、脂肪酸を取り上げてみたいと思います。
<参考資料>
栄養大全 上西一弘ほか NHK出版 2022年
糖質疲労 山田悟 サンマーク出版 2024年
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