
良い睡眠を手に入れるため具体的にはどうすればよいのでしょう。
「良い睡眠のはなし(基礎編)」で、睡眠に対する理解が進みました。いよいよ良い睡眠を手に入れるための具体的な方法について調べていきます。
◆目次◆
1.どれだけ眠れば良いか
2.体内時計について
3.朝型、夜型?
4.睡眠時間は睡眠単位で考えよう
5.昼寝の効果
6.まとめ
1.どれだけ眠れば良いか

結論から言いますと「好きなだけ眠る」が正解です。健康な人にとって、眠気は睡眠不足を知らせる大切なサインです。眠くなったら眠る、目が覚めたら起きるが正解です。
「7時間以上眠らなければ」「眠りすぎではないか」など気にすることはやめましょう。
もちろん。好きな時に眠り、好きな時に起きることができる人は少ないと思います。
その点、睡眠は融通が利くので、寝不足かな?と思ったら後で取り戻すことができます。
先ずは、自分にとって十分な睡眠時間はどのくらいか、寝起きのベストタイミングなどを見つけていきましょう。
これらを見つける上で、体内時計について知ることが大切です。
2.体内時計について

体内時計とは、地球の自転周期である24時間をリズム(概日リズムといいます)として取り入れるため、ヒトが持っている機能で、脳の視床下部にある視交叉上核というところに存在しています。
体内時計は、覚醒(起きること)や睡眠だけでなく、ホルモンの分泌や血圧・体温の調節など、様々な生理活動を制御しています。
ヒトの身体は約60兆個の細胞からなり、生殖細胞をのぞく全ての細胞が独自の体内時計を持っているとされています。腹時計は代表例ですね。
視交叉上核にある体内時計はマスタークロックとして全身の体内時計を同調させています。
2-1 朝、日光を浴びよう
体内時計は日の光を感じることによって調整されます。これを光同期といいます。
良い睡眠の第一歩は朝から始まります。朝起きたらできるだけ外に出て日の光を浴びるようにしましょう。少しの時間あるいは曇りの日でも効果があります。
これによってマスタークロックがリセットされ体内時計が正しく機能しはじめます。
2-2 概日リズムを知ろう
体内時計が正しく機能しはじめました。次は概日リズムについてです。一般的な概日リズムは太陽に同調していると考えて良いでしょう。
睡眠で言うと、太陽が昇ると目が覚め、太陽が沈むとだんだんと眠くなり、午前2時から3時頃が最も能率的な睡眠時間とされています。反対に約12時間後には「午後のスランプ」というかたちで眠気が高まる時間がやってきます。
このように概日リズムには「山」と「谷」があります。身体の自然な流れを観察することによって自分の概日リズムを知ることが大切と言えます。
2-3 就寝前の電子機器の使用は避けよう

体内時計は正しく機能し、概日リズムも把握できたとして、後はそれに沿って生活していけば良いわけですが、人それぞれ生活リズムは異なりますし、自分の好きなように生活できる人は少ないと思います。
一つ確実なこととして、就寝前の電子機器の使用はなるべく避けましょう。
体内時計は光に同期します。具体的にはメラトニンというホルモンが睡眠を調節しています。メラトニンは一般的に午後9時頃から分泌が始まり、午前7時頃分泌が止まります。つまり暗くなると分泌がはじまり明るくなると分泌が止まるわけです。
パソコンやスマホ、テレビなどが発するブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し体内時計を狂わす可能性がありますので、就寝前の使用はなるべく避けましょう。寝室にスマホを持ち込まないことも良いと思います。
3.朝型、夜型?

体内時計には個人差があります。朝強い人は朝型の体内時計をもち、ナイトライフ愛好家は夜型の体内時計をもっており、遺伝的な面があるとされています。
ただし、そのズレは約2~3時間、最大でも5時間程度とされています。
問題は、会社の就業時間など現代社会の生活様式が、朝型でも夜型でもない生活を強いることであり、これは簡単に変えることができません。
自分が朝型か夜型か把握して、朝型であれば大事な仕事を午前中に持ってくるなど、力を発揮できる時とそうでない時のメリハリをつけると良いでしょう。
4.睡眠時間は睡眠単位で考えよう
基礎編でご説明した通り、睡眠とは、ノンレム睡眠とレム睡眠を1セット約90分から110分の睡眠単位とし、これを4回から5回繰返すことを言います。
自分にとって何時間の睡眠がベストかではなくて、何セット睡眠単位をとれば良いか、それも週単位で何セットが良いかを基準に考えてみましょう。
週35セットがベストの睡眠単位であれば、1日のセット数の上下は気にせず、週単位で達成するくらいの楽な気持ちで良いでしょう。睡眠にはある程度の柔軟性があり、あとで取戻しも効くからです。
ヒトの睡眠の最も自然なかたちは、眠くなったら1日何度でも睡眠をとる(これを多相睡眠といいます)だそうです。概日リズムにある山や谷、睡眠単位で考えると理にかなった睡眠方法だと言えます。
次に説明する昼寝も1睡眠単位と見做して良いそうです。
5.昼寝の効果

身体や脳の回復は、夜間の睡眠中だけに限らず行われています。ランチの後に襲ってくる睡魔「午後のスランプ」、午後5時から7時頃の眠気などは、概日リズムに沿った自然の欲求で、実は身体や脳が回復のチャンスを告げている素晴らしいサインでもあります。
近年、昼寝を奨励する企業が増えているそうですし、トップアスリートは昼寝をコントロール・リカバリー・ピリオッド(管理された回復時間、CRP)と呼び、積極的に活用しています。NASAは26分の睡眠がパイロット(宇宙飛行士ですね)のパフォーマンスを30%以上改善させたことを報告しています。
CRP(昼寝)は、フルセットの睡眠単位でとらなくても、効果があるとされ、特に脳の情報整理は活発に行われるそうです。
就業時間中に睡眠をとることにはまだ抵抗があると思います。特に経営に携わる方やチームマネジメントに携わる方が、従業員の健康増進、企業やチームのパフォーマンス向上のため、CRP(昼寝)の導入を真剣に検討すべきと考えます。
6.まとめ
昔、祖母が「お米と布団にはお金をかけなさい。」と、さかんに言っていました。食生活に気を遣い、良い睡眠を心がけなさいと言いたかったようです。
「良い睡眠のはなし(応用編その2)。」では良い睡眠を得るため気軽に取り入れられそうなことを紹介してます。睡眠の質を改善し、時間を有効に活用してみてはいかかでしょうか。
<参考資料>
櫻井武 睡眠の科学 株式会社講談社 2017年
Shawn Stevenson SLEEP ダイヤモンド社 2017年
Nick Littlehales 究極の睡眠術 ダイヤモンド社 2018年
大谷憲 片平健一郎 最高の睡眠は血流で決まる 株式会社かんき出版 2018年
