難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)とは

お米を食べても太らない方法」で少し紹介した、難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)をもう少し詳しくお話しようと思います。

◆目次◆

1.難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)

2.4つのメカニズム

3.レジスタントスターチ、摂取メリット

4.レジスタントスターチを含む食品

5.ヤマノイモ科

6.まとめ

1.難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)

難消化性でんぷん(以下、レジスタントスターチ)とは、ヒトの小腸までは消化されず、大腸に届くでんぷん及びでんぷん分解物の総称です。
レジスタント(resistant)=消化されない、スターチ(starch)=でんぷん という意味です。
従来、“でんぷん”は小腸で全て消化・吸収されると考えられていましたが、消化・吸収されにくい性質のでんぷん=レジスタントスターチが存在することが、近年の研究で明らかになりました。レジスタントスターチは、でんぷんでありながら、エネルギーとなりにくく、整腸作用や生活習慣病予防効果などがある成分で、食物繊維の不溶性と水溶性2つの特徴を兼ね備えています。
注:トクホ飲料に使われている難消化性デキストリンとは構造も性質も異なります。

2.4つのメカニズム

レジスタントスターチは消化されないメカニズムの違いによって次の4種類に分類されています。
【RS1】細胞壁などで物理的に消化されない
雑穀のように硬い組織に囲まれていることで消化酵素がでんぷんまで届かないタイプ
食品の例:全粒粉、豆類、粗粉砕穀類、パスタ
【RS2】澱粉粒自体に耐消化性がある
十分に加熱されていない未糊化のでんぷんやアミロースの極めて多いでんぷんなど、でんぷんの粒子自体が消化されにくいタイプ
食品の例:未熟バナナ澱粉、高アミロース澱粉、未加熱の馬鈴薯澱粉
【RS3】老化澱粉
冷ご飯や春雨のように一度加熱されて糊化したあと、冷めたり、保存する過程で一部のでんぷんが再結晶して消化されにくい構造に変化したタイプ。
食品の例:ポテトサラダ、コーンフレーク、冷ご飯
【RS4】化工澱粉
加工でんぷんの一種で、でんぷんを高程度に化学修飾することで消化酵素が作用しにくくなったタイプ
食品の例:加工食品(スナック菓子、パン、ドレッシングなど)

3.レジスタントスターチ、摂取メリット

まず初めに、レジスタントスターチは加熱することで構造が変化し消化されやすく、冷めると再び消化されにくい構造に変化します。
つまり、冷めているほうがレジスタントスターチが豊富であることを意味します。(ただし、レジスタントスターチが多く含まれることになるだけで、ブドウ糖が減るわけではないので、食べ過ぎには注意が必要です。)

●血糖値の上昇抑制
通常のでんぷんは、摂取すると小腸でブドウ糖(グルコース)になり、血液へ取り込まれるため血糖値が上昇しますが、もともと多糖類のでんぷんは、糖質の中でも血糖値の上昇は緩やかです。通常のでんぷんでもこのような効果ですので、より消化・吸収されにくいレジスタントスターチは、血糖値の上昇は相当抑えられていると考えられています。
また、EUヨーロッパ連合では、レジスタントスターチを14%以上含む食品について、「食後の血糖応答が小さい」という内容の表示をすることが認められているそうです。

●腸内代謝
分解されずに大腸に届いたレジスタントスターチは、腸内細菌によって代謝され、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸などの短鎖脂肪酸を生成します。
短鎖脂肪酸は、腸内のph(水素イオン濃度指数)を酸性に保つことで、アルカリ性を好む悪玉菌の繁殖を防ぐ効果があります。また、善玉菌の増殖を助け、腸から全身の健康維持に役立つ重要な働きをしています。

●空腹感の抑制
砂糖などの単糖類は消化・吸収が早いため、血糖値が急上昇急下降し、すぐにお腹が空きますが、レジスタントスターチは、消化・吸収が緩やかなため、血糖値の乱高下を防ぎ空腹感の抑制に繋がります。

●摂取カロリーの抑制
レジスタントスターチのカロリー1gあたり2kcalと、通常のでんぷんの半分とされているため、同じ量を摂取してもカロリーは抑えられます。

4.レジスタントスターチを含む食品

レジスタントスターチは雑穀や豆など、コーンフレークやパスタなどのでんぷん質の食品の一部に含まれます。中にはハイアミロースコーンスターチのように、多量のレジスタントスターチを含むものも。さらに、最近はレジスタントスターチをより多く含んだでんぷんが食品素材として開発されており、麺類やパンなどに配合して、より手軽に摂取できるよう取り組みが進められています。

食品中に含まれるレジスタントスターチ

食           品 レジスタントスターチ含有量
(乾燥重量あたり)
パスタ  1.4%
コーンフレーク  2.8%
インゲンマメ(水煮) 5.3%
コーンスターチ  0.99%
ハイアミロースコーンスターチ 43.0%
グリーンバナナ(凍結乾燥)  51.0%
グリーンバナナ(生でんぷん)  62.3%
ポテトスターチ(AVEBE製)  77.0%

食品中に含まれるレジスタントスターチ

食           品 レジスタントスターチ含有量
(食品100gあたり)
ライ麦パン(全粒粉) 3.2g
トルティーヤ(とうもろこし)  3.0g
オールブラン(ケロッグ) 0.7g
コーンフレーク 3.2g
グラノーラ 0.1g
オーツブラン(シリアル)  1.0g
ポテトチップス 3.5g
バナナ(生) 4.0g
パスタ(小麦、調理済) 1.1g
白米(長粒種、調理済)  1.2g
インゲン豆(調理済) 2.0g
ポテトサラダ 1.0g

食品中に含まれるレジスタントスターチの量は、測定法、食材の熟成度、調理法、加熱条件、調理後の温度などによって変動します。

※参考:MARY M.MURPHY,MS,RD;JUDITH SPUNGEN DOUGLASS,MS,RD;ANNE BIRKETT,PhD(2008).”Resistant Starch Intakes in the United States”.Journal of the AMERICAN DIETETIC ASSOCIATION 108(1):67-78.doi:10.1016/j.jada.2007.10.012 2015年3月27日閲覧

5.ヤマノイモ科

東アジアで食されているヤマノイモ科の山芋(自然薯)や長芋に多くのレジスタントスターチが含まれているそうです。特に、自然薯はレジスタントスターチが長芋の約3倍とも言われているので、生で食べて効率よくレジスタントスターチを摂取しましょう。

6.まとめ

レジスタントスターチ、発見してくれた人に感謝。