食物繊維は発酵性が良い?

食物繊維は確かにからだに良いのですが私たちはこれを直接吸収することができません。
このためかつては栄養素としてすら考えられてきませんでした。
ところが食物繊維を材料に腸内細菌が有用な成分を生み出してくれることがわかってきたことで重要性が再認識され今では第6の栄養素とも言われています。
食物繊維には発酵性と非発酵性があって腸内細菌は発酵性の食物繊維を材料に短鎖脂肪酸など有用な成分を生み出してくれています。

◆目次◆

1.発酵性と非発酵性

2.腸内細菌による発酵の留意点

3.まとめ

1.発酵性と非発酵性

一般に食物繊維は水に溶けるか溶けないかで水溶性食物繊維か不溶性食物繊維に分類されます。
主な食品に含まれる食物繊維の量は以下の通りです。
表でわかると通り水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は混在しています。
100グラム当たりの食物繊維量が多い食品は、わかめ、ひじき、きくらげ、干ししいたけ、こんぶなどです。
水溶性食物繊維のほとんどは腸内細菌が利用できる発酵性の食物繊維です。
水溶性食物繊維が多い食品は、ひじき、らっきょう、焼きのり、エシャロット、わかめ、こんぶ、大麦などです。
一方、不溶性食物繊維のほとんどは非発酵性食物繊維です。
ただし不溶性食物繊維の中でも米ぬかや小麦の外皮、トウモロコシ、ライ麦、オーツ麦に含まれるアラビノキシランという成分などは不溶性であっても腸内細菌によって発酵されます。
腸内細菌は水溶性食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸などの有用な成分を生み出してくれています。
不溶性食物繊維のほとんどは非発酵性ですが保水性がよく便を増やす効果や柔らかくする効果や腸を刺激して蠕動運動を盛んにして便の通過時間を短縮してくれます。
これらの効果は腸内環境を改善して便秘や腸の病気の予防に役立っています。

2.腸内細菌による発酵の留意点

食物繊維はダイエットに良いとされその根拠はカロリーが低いもしくはカロリーゼロだからですが発酵性の食物繊維にはカロリーがあります。
腸内細菌による発酵分解率が0から25%未満のものはカロリーゼロですが、25%以上75%未満は1キロカロリー、75%以上は2キロカロリーのカロリーがあると換算されます。
<主な食物繊維(素材)のカロリー量>
・カロリーゼロ
 寒天、キサンタンガム、サイリウム種皮、ジェランガム、セルロース、低分子アルギン酸ナトリウム、ポリデキストロース
・1キロカロリー
 アラビアガム、難消化性デキストリン、ビートファイバー
・2キロカロリー
 グァーガム、グァーガム酵素分子、小麦胚芽、湿熱処理でんぷん(難消化性でんぷん)、水溶性大豆食物繊維、タマリンドシードガム、プルラン
発酵性オリゴ糖やラクトース(乳糖)、フルクトース(果糖)など二糖類、単糖類、糖アルコールなど腸内細菌による発酵スピードが速いものが大量に腸に入ると、一気に発酵が起り発酵によってできたガスが腸を刺激してお腹が張ったり痛くなったり腸内が急速に酸性に傾くことでお腹を下す人もいるようです。
発酵自体が悪いのではなく発酵スピードの問題なのですが、腸が敏感で不安のある人はオリゴ糖などを控える方がよいかもしれません。
大切なのは発酵スピードの異なる様々な食材を摂ることで腸の広い範囲で発酵が起こり、有用な菌が増える範囲も広がるのではと考えられているということです。
清涼飲料水やお菓子などに使用されるスクラロース、ソルビトール、エリスリトールといった低カロリー甘味料は消化・吸収しにくいためカロリーになりにくい甘味料ですが注意が必要です。
低カロリー甘味料は小腸で吸収されず大腸まで届くのですがこれらを利用(発酵分解)できる特定の腸内細菌が存在するそうで、摂取が恒常化すると腸内フローラのバランスが崩れて腸のバリア機能も損なわれ下痢などをおこしてしまう例が報告されているそうです。

3.まとめ

「食物繊維は発酵性が良い?」ではなく、発酵性・非発酵性に関わらず幅広い食材からたくさんの食物繊維を摂ることが大切とわかりました。
<参考資料>
腸内細菌の科学 内藤裕二 日経BP 2024年
<関連コラム>
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