麴菌

麹菌は日本固有の菌です。
起源は定かでありませんが一説では大陸から稲が持ち込まれたのと同時期、弥生時代ではなかったかと考えられています。
麹菌は炊いた米が腐敗して表面にカビが生えたことで発見されたとされています。
麹を糀と書くこともあってこれは米の表面に付いたカビ(麹菌)が、花が咲いたように見えたからだそうです。
日本酒を造るためなどに利用され正式に酒を造った記録は8世紀に記された「播磨国風土記」にありますがその遥か昔から利用されていたと考えられています。
日本酒にとどまらず奈良・平安時代には味噌、醤油、味醂などに利用され現代では様々な発酵食品に利用されています。

◆目次◆

1.麹菌の力

2.清酒造りにおける麹菌の役割

3.まとめ

1.麹菌の力

麴菌はでんぷんやタンパク質の分解能力が優れていて抗生物質や栄養素となる各種ビタミンなどの代謝産物を生成する力を持っています。
麹菌は米を餌として菌糸を成長させて酵素を産生します。
この酵素がでんぷんやタンパク質を分解しながらアミノ酸やグルコースなどを産生していきます。
麹菌が産生する主な酵素はアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼでその働きは以下の通りです。
アミラーゼ
アミラーゼはでんぷんを分解して低分子の糖類に変換する能力を持っています。
麹菌はα-アミラーゼ、α-グルコシターゼ、グルコアミラーゼなど数種のアミラーゼを産生できるため米以外に麦、大豆、野菜など多くの素材を分解する能力があります。
プロテアーゼ
プロテアーゼはペプチド結合を分解する酵素全般を意味しタンパク質を分解する能力を持っています。
タンパク質はアミノ酸が多重結合したポリペプチドの状態ですがこれを低分子化したペプチドに分解してアミノ酸が産生されます。
生の大豆はそのまま食べても旨みを感じることができませんが、プロテアーゼで発酵・分解してアミノ酸にすると旨みを感じることができます。
リパーゼ
リパーゼは脂質を分解して消化を行う酵素で、体内では胃液や膵液の中に含まれて食物中の脂質を分解します。
硬い肉を麹菌で仕込むと肉質が柔らかくなり脂質も分解されるため消化が促進されます。

2.清酒造りにおける麹の役割

清酒造りを例に麹の役割をみてみましょう。
先ず麹が酵素を使って米のでんぷんを分解します。
次にこの分解されたブドウ糖が酵母によってアルコールに変換されます。
麹はビタミンや無機物なども酵母の栄養源として供給しています。
麹の能力が低いとでんぷんが分解されきれずアルコールの低い駄酒になってしまいます。このため酒造りでは「一麹二酛(もと)三醪(もろみ)」という格言があります。
麹は米に含まれるタンパク質も分解しますのでアミノ酸が清酒の旨みとなります。
またプロテアーゼは水に溶けにくいタンパク質の微粒子が清酒に残り著しく商品価値を下げるタンパク混濁を防いでくれます。

3.まとめ

麹菌は私たちの食生活や健康を支えてくれています。
麹菌がなければ私たちの食文化は大きく異なっていたことでしょう。
<参考資料>
発酵食品の科学 坂本卓 日刊工業新聞社 2015年
絵でわかる麹のひみつ 小泉武夫 講談社 2015年
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