とても大切なビタミンの話 前編

風邪を引いたらビタミン、美白・美肌にビタミンと、なにかと身近なビタミン。コンビニエンスストアや薬局などにも、ビタミン剤やビタミンドリンクが多く売られています。そんな手軽に手に入るビタミンですが、そもそもどんな栄養素か調べてみました。

◆目次◆

1.ビタミンとは

1-1 ビタミン欠乏症

1-2 ビタミン過剰症

2.ビタミンの分類

2-1 脂溶性ビタミン

2-2 水溶性ビタミン

2-3 ビタミン様物質

3.13種類のビタミン(脂溶性ビタミン編)

① ビタミンA

② ビタミンD

③ ビタミンE

④ ビタミンK

1.ビタミンとは

ビタミン全編2
ビタミンは、生物の体の機能を調整・維持するために必要な栄養素のうち、炭水化物・たんぱく質・脂質以外の有機化合物の総称です(栄養素のうち無機物はミネラルです)。ビタミンは、生物種によって働く物質が異なるそうです。私たちヒトのビタミンは、13種類が認められています。
ビタミンはほとんどの場合、生体内で十分な量を合成することができません。また、できても量が足りないので主に食料から摂取します。

1-1 ビタミン欠乏症

ビタミンの不足によって起こる疾病や成長障害のことをビタミン欠乏症と言います。ビタミンの多くは、体の中で酵素がその活性を発揮するために必要な補酵素として機能しています。
ビタミン欠乏症に陥ると、ビタミン類を補酵素として利用する酵素が関与する代謝系の機能不全症状が現れてくるそうです。しかし、様々な食品を食べていれば、ほとんどのビタミンで欠乏が起こることはありません。

1-2 ビタミン過剰症

ビタミンは沢山摂るのが良いと思ってしまいますが、ビタミンの種類によっては体に蓄積し、大量にとることによって過剰症を起こすことがあります。食事などで摂る分には心配ありませんが、サプリメントなどで摂取する場合は、必要量をオーバーしやすいため、注意が必要となります。

2. ビタミンの分類

13種類のビタミンは、4つの脂溶性ビタミンと9つの水溶性ビタミンに分類されます。

2-1 脂溶性ビタミン

(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)
水に溶けにくく、脂に溶けやすいビタミンの総称です。肝臓や脂肪組織に蓄えられます。過剰に摂取した場合、体に害を及ぼす場合があります。
油脂といっしょに食べると吸収率が高まり、効率よく摂取できます。

2-2 水溶性ビタミン

(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC)
水に溶けやすいビタミンの総称です。多くは補酵素として働きます。一度に過剰摂取しても、体内で使われないと排泄される傾向があります。水溶性ビタミンは、食品の保存や調理によっては壊れやすい傾向があります。水溶性ビタミンが失われるのを防ぐためには次の方法があります。
〇生鮮食品を冷蔵保存する
〇牛乳と穀物を強い光が当たらないように保存する
〇調理の際、野菜から出た水分を使ってスープを作る

2-3 ビタミン様物質

ビタミンと同様、体内に微量に存在する有機化合物で、体の機能を維持する働きがあります。ビタミンと違うのは、体内で合成されるなどして、欠乏症が起こりにくいという点です。
ビタミンと似た働き、あるいはビタミンを助ける働きを持っていますが、ビタミンと呼ぶには十分でないと考えられている物質のことを言います。
※主なビタミン様物質と働き
・αリポ酸・・・疲労回復や、美肌を生み出す効果があるとされます。
・イノシトール・・・脂質の代謝にかかわり、脂肪肝などを予防するといわれています。
・コエンザイムQ10・・・「ユビキノン」ともいわれ、抗酸化作用などが期待されています。
・コリン・・・細胞膜を構成するレシチンの材料になり、高血圧や動脈硬化を予防するといわれます。
・パラアミノ安息香酸・・・葉酸の合成に必要な成分で、成長促進などに効果があるとされます。
・ビタミンP・・・フラボノイド類の仲間で、ビタミンCの働きを助けます。
・ビタミンU・・・「キャベジン」ともいわれ、胃・十二指腸潰瘍の予防・治療に有効です。

3.13種類のビタミン(脂溶性ビタミン編)

ビタミン全編3
前編は、13種類のビタミンのうち脂溶性ビタミンについてです。

①ビタミンA

ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称です。体の中でビタミンAとして働く成分としては約50種類が知られており、代表的なものが動物性の食品に含まれるレチノールと、植物性の食品に含まれるα、βなどのカロテン類です。レチノールは70~90%が吸収され、利用効率が高い成分です。
β-カロテンは摂取すると、小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるのでプロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれ、ビタミンAとして働きます。
吸収率とレチノールへの変換率を反映させると、利用率はレチノールの1/12とされています。
人の血液中のビタミンAはほとんどがレチノールだそうです。
・体内での働き・・・視覚の正常化、皮膚の健康維持、粘膜の健康維持、抗がん作用
ビタミンAが欠乏すると・・・暗い所で目が見えなくなる夜盲症になることが知られています。また、皮膚や粘膜が乾燥し、細菌などに感染しやすくなります。子供の場合は成長障害になることがあります。
ビタミンAを過剰に摂ると・・・体に蓄積されるため、頭痛や吐き気などの症状が出ることがあります。妊娠初期にとりすぎると胎児への悪影響が報告されています。
・多く含まれる食品・・・レバー、ウナギ、バター、マーガリン、チーズ、卵、緑黄色野菜、みかん、海藻など

②ビタミンD

ビタミンDにはD2からD7の6種類ありますが、D4からD7は食品にほとんど含まれず、活性も低いため、一般的には高い生理活性を示すビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の2つの成分に分けられます。どちらも体内での作用に違いはなく、効力もほぼ同等です。
ビタミンD3は、皮膚にあるコレステロールの一種が紫外線に当たることでも合成されます。しかし高齢者は合成されにくいことなどから食事で摂取する必要があります。
・体内での働き・・・カルシウムやリンの吸収促進、骨や歯の成長促進、血中カルシウム濃度の調整
ビタミンDが欠乏すると・・・小腸や腎臓からのカルシウム吸収が不十分となるため、骨量が減り、骨軟化症や骨粗鬆症を起こしやすくなります。子供の場合はくる病や成長障害が起こります。
ビタミンDを過剰にとると・・・高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化などをまねくおそれがあります。乳児の場合、成長が遅れることもあります。
・多く含まれる食品・・・しめじ、しいたけ、きくらげ、イワシ、カツオ、サケ、卵など

③ビタミンE

ビタミンEとして働く成分は8種類あります。大きく分類すると、トコフェロールとトコトリエノールとがあり、構造の違いによってそれぞれα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4つがあります。α-トコフェロールは8種のビタミンEの中でもっとも生理活性作用が強く、体内に存在するのも90%がこの成分とされているそうです。
・体内での働き・・・抗酸化作用、細胞膜の正常維持・細胞の老化予防、血行改善、生殖機能の維持
ビタミンEが欠乏すると・・・赤血球がもろくなり、溶血性貧血になります。活性酸素の害を受けやすくなり、動脈硬化などが進みやすくなります。
ビタミンEを過剰に摂ると・・・出血しやすくなるという報告がありますが、あまり心配する必要はないようです。
・多く含まれる食品・・・植物油、アーモンドなどのナッツ類、ウナギ、たらこ、かぼちゃ、モロヘイヤ、アボカドなど

④ビタミンK

ビタミンKは多種類ありますが、天然のものは植物性食品に含まれるビタミンK1(フィロキノン)と微生物から生産されるビタミンK2(メナキノン類)の2種類です。ビタミンK1は1種類ですが、ビタミンK2には何種類が存在します。メナキノン類には、動物性食品に含まれるメナキノン-4と納豆に含まれるメナキノン-7があります。K2は体内でも腸内菌によって合成されますが、必要量の半分程度しかつくることができません。また、ビタミンKはビタミンK依存性タンパク質の活性化に必須であり、動物体内で血液の凝固や組織の石灰化に関わっています。
・体内での働き・・・血液凝固因子を活性化・骨格の形成・骨粗しょう症予防
ビタミンKが欠乏すると・・・通常の場合、心配はほとんどありません。ただし、抗生剤を長期間飲み続けている人は不足する場合もあります。血液凝固が遅れ、胃腸からの出血や月経過多などの症状が起こります。慢性的に不足すると骨粗鬆症が起こりやすくなります。新生児や乳児は腸内や頭内で出血することもあります。
ビタミンKの過剰摂取はあまり気にする必要がないようです。
・多く含まれる食品…納豆、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、わかめ、めかぶ、鳥もも肉(皮つき)、鶏手羽など

前編は、脂溶性ビタミンについてでした。後編は水溶性ビタミンです。「とても大切なビタミンの話 後編」をご覧ください。

<主要参考文献>
からだにおいしい あたらしい栄養学(吉田企世子・松田早苗監修 高橋書店)