今、世界で蔓延している新型コロナウイルス。たばこを吸っている人は、重症化リスクが高まるそうで、WHO(世界保健機構)も禁煙を促しているとかなんとか・・・。
たばこについて考えて見ましょう。
◆目次◆
1.たばこ
2.身体への影響
3.ニコチン依存
4.禁煙に向けて
5.まとめ
1.たばこ

タバコ(tabaco:スペイン語・ポルトガル語)は、ナス科タバコ族の熱帯地方原産の植物で、葉の成分として強い嗜癖性があるニコチンを含んでいます。
たばこは、タバコの葉を加工した嗜好品で、葉巻・パイプタバコ・刻みタバコ・嗅ぎタバコ・噛みタバコ・紙巻たばこ(シガレット)等の形態で利用されています。
日本においてたばこは、喫煙によって直接的ないし波及的に発生する社会的な問題があります。
ポイ捨て・寝たばこ・歩きたばこ・未成年者の喫煙など、喫煙者のマナーを問われる問題がある一方、たばこは地方財政にとって貴重な自主財源となっています。(たばこには、4種類の税が含まれています。一般的な紙巻たばこでは、国たばこ税、地方たばこ税(道府県たばこ税+市町村たばこ税)、たばこ特別税、消費税)
2.身体への影響

たばこを吸うことによる身体への影響には、煙が直接触れる口や喉や肺以外にも多くあります。これまでの研究などによる総合的な判断によって、がん・循環器・呼吸器・妊娠への影響といった広範な影響が喫煙により引き起こされることが知られるようになりました。
たばこの3大有害成分
| ニコチン | ニコチン依存を引き起こす原因物質で、中枢神経系に作用し、少量では興奮作用、大量では鎮静作用を示します。 喫煙によって体内に吸い込まれるニコチンの量は、たばこ1本で1~3㎎程度ですが、肺から速やかに吸収され全身に広がり、間接的には血管を収縮させて、血液の流れを悪くします。また、代謝物は発ガン性が認められています。 |
| タール | たばこのフィルターに茶色でヤニのように付着するものをタールといいます。タールには、ベンツピレンをはじめ、アミン類など数10種類近くの発がん性物質が含まれています。たばこ1本に含まれるタールの量はごくわずかでも、長い年月にわたって蓄積されていくことによってガンに至るとされています。 |
| 酸化炭素 | たばこの煙のガス成分には、一酸化炭素が含まれているため、喫煙者は常に肺から体内に一酸化炭素を取り入れていることになります。一酸化炭素は、赤血球中のヘモグロビンと結びついて、酸素を体のすみずみに運搬するという大切な働きを妨害してしまうため、慢性的に脳細胞や全身の細胞に酸素欠乏状態をもたらし、ニコチンの欠陥収縮作用と重なって心臓を養っている冠状動脈や脳血管の動脈硬化を促進します。 |
=喫煙による影響=
▲がん
たばこの煙には60種類以上の発がん物質が含まれています。
国際がん研究機関(IARC)の2012年の報告によると、喫煙との関連が確実ながんとして、口腔・鼻咽頭・副鼻腔・咽頭・肺・食道・胃・膵臓・大腸・肝臓・腎臓・尿管・膀胱・子宮・頚部・卵巣・骨髄性白血病があげられています。
▲循環器疾患
たばこの煙に含まれる活性酸素は、血管内皮細胞を阻害します。そのため、動脈硬化・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などのリスクが高まります。
▲呼吸器疾患
喫煙は肺炎を含む急性の呼吸器疾患を引き起こす原因となります。慢性閉塞性肺疾患、呼吸機能低下、気管支喘息、結核など
▲妊娠・胎児
妊娠中に能動喫煙又は受動喫煙すると、流産・早産の可能性が上昇、出生後の乳幼児突然死症候群(SIDS)・中耳炎・呼吸器感染症・行動障害などの罹患率が増加。また、先天異常の危険性も高まります。
▲免疫低下・感染症
小児において、喫煙環境と中耳炎の因果関係が明らかであるとする意見があります。また、喫煙は、インフルエンザへの感染リスクも数倍高く、感染症リスクを増加させます。
喫煙者は呼吸器を障害するなどのメカニズムにより肺結核の危険も高いです。
▲歯科疾患
ニコチンが歯周組織や歯肉などの再生や修復に影響を与えるとされています。
▲精神疾患
因果関係が示されているわけではないですが、喫煙する人ほど自殺願望を抱きやすいとする研究がドイツでなされているそうです。
▲神経疾患
=受動喫煙への影響=
喫煙者が吐き出した煙やたばこから立ち上る煙にも、ニコチンやタールなど多くの有害物質が含まれています。本人は喫煙しなくても身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうことを受動喫煙と言います。
受動喫煙との関連が確実と判定された肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群の4疾患について、超過死亡数を推定した結果によると、日本では年間約15,000人が受動喫煙で亡くなっているとのことです。
3.ニコチン依存

ニコチンは、神経毒性の強い猛毒です。(化学物質としては毒物に指定)
たばこを吸うと、ニコチンは脳にあるニコチン受容体に作用することで、中枢神経のドーパミン神経系が活性化し、喫煙者は快感を得られます。しかし、30分もすると、体内のニコチンが切れ始め離脱(禁断)症状が現れます。そしてその離脱症状を解消するために、またたばこを吸う、その繰り返しによりニコチン依存は進んでいきます。
ニコチン依存から抜け出すのは、ヘロインやコカインをやめるのと同じくらい難しいと言われているそうです。
禁煙治療の保険診療で用いられる、ニコチン依存度テストです。
全10問の質問で構成され、「はい」と答えると1点、「いいえ」と答えると0点、10問の点数の総計で依存度を判定する。5点以上が「ニコチン依存症」と診断されます。
TDSニコチン依存度テスト 厚生労働省 e-ヘルスネット
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設問内容 |
はい 1点 |
いいえ 0点 |
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| 問1. | 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くたばこを吸ってしまうことがありましたか? | ||
| 問2. | 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか? | ||
| 問3. | 禁煙や本数を減らそうとしたときに、たばこがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか? | ||
| 問4. | 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか? (イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加) |
||
| 問5. | 問4でうかがった症状を消すために、またたばこを吸い始めることがありましたか? | ||
| 問6. | 重い病気にかかったときに、たばこはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか? | ||
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問7. |
たばこのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか? | ||
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問8. |
たばこのために自分に精神的問題(※)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか? | ||
| 問9. | 自分はたばこに依存していると感じることがありましたか? | ||
| 問10. | たばこが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか? | ||
| 合 計 | |||
※(注)禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって 神経質になったり、不安や抗うつなどの症状が出現している状態。
4.禁煙に向けて

たばこをやめられない人
▲ニコチン依存
▲生活習慣の一部になっている
▲健康には害がないという理屈
ニコチンの依存度は高く、禁煙をしても失敗する人がほとんどです。また、喫煙している人は、たばこが健康に害を与えると思いたくないので、喫煙と健康障害との因果関係を認めようとしないそうです。喫煙愛好者の医師は、喫煙が健康に害を及ぼすことは医学常識ではあっても、「完全には証明されていない」と喫煙を続ける理屈を求めます。
◇◆◇ 禁煙の準備 ◆◇◆
禁煙開始7日前からはじめる、禁煙への心構え
①禁煙を開始する日を決める。また禁煙の理由を明確化し書き出す。
②吸いたい気持ちの対処法を練習。(下記「離脱症状を克服する方法」参照)
③禁煙前に一度、意識的にたばこを吸う練習をする。無意識にたばこを手に取るのは×
④ニコチンパッチなど、禁煙補助薬を選ぶ。専門家を探す。
◇◆◇ 禁煙の実行期 ◆◇◆
継続が難しい禁煙。再喫煙のリスクを想定して対策を
①禁煙を開始できた自分を褒めてあげる。禁煙の自信向上につながる。
②禁煙して良かったことを探す。禁煙の利益を見やすい形にするなど。
③たばこのイメージを塗り替る。たばこに対して悪いイメージを持つなど。
④1本の誘惑に負けないようにする。
◇◆◇ ご家族へ。サポートの仕方 ◆◇◆
禁煙を挑戦する方にとって、家族のサポートは強力です。禁煙する方は医師の強さとは関係なく神経伝達物質の影響で気分が不安定になります。
①少しでもたばこを吸わないでいられたら、とにかく褒めてあげる。
②たばこを吸いたくならないように環境を整備する。喫煙場所を撤去するなど。
③禁煙に役立ちそうな小物(ガム・昆布など)を買ってくる。
④時々ご褒美をあげる。一緒に目標設定をし、禁煙のやる気を育てる。
⑤気分転換ができるよう、外に連れ出す。
⑥できるだけ、声をかけてあげる。
⑦離脱症状の強い時期は、大目に見てあげる。
◇◆◇ 離脱症状を克服 ◆◇◆
禁煙開始後2~3日をピークに禁煙の離脱症状があらわれますが、症状はおおむね1週間、長くても2~3週間で消失するそうです。
離脱症状を克服する方法
| 離脱症状 | 克服する方法 |
| たばこに対する渇望 | 他のことをする、深呼吸をする、みずからたばこを吸わないと暗示する |
| 不安感 | 深呼吸する、カフェインの入った飲み物を飲まない、他のことをする |
| イライラする | 歩く、深呼吸する、他のことをする |
| 睡眠障害 | 寝る前にカフェインの入った飲み物を飲まない、昼寝しない、好きなスポーツのようなリラックスできることを思い浮かべる |
| 集中力の低下 |
他のことをする、散歩する |
| ふらつき感 | 必要なら座ったり横になったりする、すぐに治まることを確信する |
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疲労感 |
運動する、休養をたっぷりとる |
| 頭痛 | リラックスする、必要なら頭痛薬を飲む |
| 咳 | 水を飲む |
| 肩がこる | しばらくしたら治まると確信する |
|
便秘 |
水をたくさん飲む、野菜・果物などの繊維の多いものをとる |
| 空腹感 | バランスの良い食事、低カロリーのスナックをとる、冷たい水を飲む |
米国NIHの禁煙支援パンフレットより
5.まとめ

芥川龍之介の短編小説「煙草と悪魔」にこんな一文があります。
「煙草は、悪魔がどこからか持つて来たのださうである。」
真相は如何に!?
<参考>
厚生労働省 e-ヘルスネット
