T細胞やNK細胞 ウイルスに勝つための強い味方

ウイルス、細菌、気温、湿度、紫外線、食物に含まれる毒性物質などなど、私たちは24時間・365日、様々な外敵や厳しい環境の驚異にさらされています。
これらをゼロにすることは不可能です。私たちは生まれてからずっとこの過酷な環境の中で生活しているのです。

世界はウイルスや細菌で満ち溢れている!

これが普通の状態です。
大切なのは普通ではない量や種類のウイルスや細菌に出会わないよう気をつけること、外敵を排除するシステムがきちんと作動するよう、常日頃からメンテナンスを怠らないことです。
今回は、T細胞やNK細胞などウイルスに感染してしまった時の強い味方についてです。

◆目次◆

1.細胞性免疫とは

2.細胞性免疫の概要

3.細胞傷害性T細胞のはたらき

4.NK細胞のはたらき

5.まとめ

1.細胞性免疫とは

ヒトには、一度侵入したウイルスとの戦いを記憶して次の戦いに備える獲得免疫が備わっています。
獲得免疫には、液性免疫と細胞性免疫とがあります。
液性免疫は、B細胞がつくる抗体で外敵を攻撃するしくみです。
抗体が、外敵にとりついて無力化したり、食細胞が貪食する目印になります。
*詳しくは、コラム「抗体と補体 ウイルスに勝つための小さな味方」ご覧ください。
ところが、外敵が細胞の中に入りこんでしまうと、抗体はとりつくことができなくなってしまいます。
細胞の中に入りこんでしまった外敵を撃退するしくみが細胞性免疫です。
細胞性免疫では、樹状細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などが活躍します。

2.細胞性免疫の概要


まず、樹状細胞が外敵を食べて分解した後、リンパ節に移動してナイーブT細胞に外敵のかけらを提示します(抗原提示)。
ナイーブT細胞は、まだ活性化していない、自分の役割が分かっていない、いわば子供のT細胞のようなものです。
ナイーブT細胞には様々なタイプがあって、外敵のかけらを認識できるナイーブT細胞は、そのかけらを受取って活性化、ヘルパーT細胞に変化します。
ヘルパーT細胞は増殖して外敵が侵入した現場に急行します。
ヘルパーT細胞は、抗原提示を受けたとき浴びるサイトカインという物質の種類によって異なる種類に変化します。
ウイルス感染などの環境では、Th1とういうヘルパーT細胞になって、後で述べる細胞傷害性T細胞やNK細胞を活性化させたり、B細胞に抗体の産生を指示します。
寄生虫感染などの環境では、Th2というヘルパーT細胞になって、好酸球やマスト細胞を活性化させたり、B細胞にIgE抗体をつくらせて寄生虫に対抗します。
ある種のナイーブT細胞は、活性化して細胞傷害性T細胞になります。

3.細胞傷害性T細胞のはたらき


細胞に侵入したウイルスには、食細胞や抗体では対抗できません。
食細胞は自身の細胞は食べませんし抗体は細胞の中に届かないためです。
そこで細胞傷害性T細胞の出番です。
外敵に侵入された細胞は、外敵のかけらを表面に出して感染アピールをします。
細胞傷害性T細胞は、そのアピールを目印に攻撃を開始します。
主な方法は二つあり、感染細胞に穴を開けて酵素などを注入する方法と、感染細胞表面の細胞死スイッチを入れる方法です。
いずれの場合も、外敵が細胞の外にもれ出ないように細胞を死に導きます(アポトーシス誘導)。

4.NK細胞のはたらき


NK細胞はT細胞の仲間でなく、細胞傷害性T細胞と異なり細胞の感染アピールを認識できません。
感染細胞が出す別のサインを認識して、細胞に酵素で穴を開けて死に導く物質を注入します。
NK細胞は初期のがん細胞も殺してがんの発症を防いでくれています。

5.まとめ

私たちに備わっている免疫システムはとても精密です。また、一部のT細胞などが生き残って次回の感染に備えています。
このシステムをきちんとメンテナンスするには、質の良い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動が大切です。
NK細胞は笑うと活性化されるそうです。
楽しく過ごすことも大切ですね。

<参考資料>
運動・からだ図鑑 免疫学の基本 松本健治(監修)マイナビ出版 2018年
ウイルス・細菌の図鑑 北里英郎 原和矢 中村正樹 技術評論社 2016年

<参考ブログ>
抗体と補体 ウイルスに勝つための小さな味方
菌とウイルスと手洗い
免疫力がアップする食品!
免疫のしくみを知ろう!