物忘れ、ひどいです!

最近、物忘れがひどいです。
「ほら、あれ・・・」イメージは湧いているのに名称がでてこない、
「誰だっけ・・・」顔は覚えているのに名前がでてこない、などなど。
加齢によるものでしょうか。

◆目次◆

1.脳の構造と役割

1-1.脳の構造

1-2.神経細胞と脳内ホルモン

1-3.大脳皮質

1-4.大脳の司令塔、前頭前野

1-5.大脳辺縁系

1-6.大脳基底核

2.記憶のメカニズム

2-1.記憶の分類と種類

2-2.忘れたり、思い出したりするメカニズム

3.物忘れと認知症のちがい

4.良い睡眠で記憶の整理、定着を

5.まとめ

1.脳の構造と役割

先ずは記憶の保存場所、脳について簡単にみていきます。

1-1.脳の構造

脳は、さまざまな器官をはじめ、運動、言語、思考をコントロールする生命活動の司令塔です。
大脳、小脳、脳幹の主に3つの領域があり、大脳が全体の約85%、小脳が約10%を占めています。
大脳は、感覚、思考、感情、記憶といった精神や肉体の活動を制御しています。
小脳は、平衡感覚の保持や運動の円滑化など、運動学習の中枢を担っています。
脳幹は、呼吸や睡眠、心拍数の調整など無意識な生命活動の中枢を担っています。
脳は、ニューロンと呼ばれる神経細胞(10%)とグリア細胞(90%)で構成されています。
神経細胞は、数百億から千億個以上あり、情報を伝達、記憶、処理する巨大なネットワークをつくりあげています。

1-2.神経細胞と脳内ホルモン

神経細胞は、他の神経細胞から情報を集めて電気信号にします。神経細胞同士の間にはほんのわずかな隙間(シナプス間隙)があって、電気信号が化学物質(神経伝達物質=脳内ホルモン)に変換され他の神経細胞に伝えられます。

<主な脳内ホルモン>
・アセチルコリン:神経を興奮させ、意識、知能、覚醒、睡眠などに関わる
・ドーパミン:脳を覚醒させ精神活動を活発にする。快感、喜びなどに関わる
・ノルアドレナリン:強い覚醒力があり、注意、不安などに関わる
・セロトニン:過剰な脳の覚醒や活動を抑える
・GABA(ギャバ):血圧を下げるなど精神安定に関わる
・βエンドルフィン:鎮痛効果があり脳内麻酔と呼ばれる
・オキシトシン:愛情や信頼などに関わり、母乳の分泌促進作用もある

1-3.大脳皮質

大脳の表面は、厚さ3ミリほどの大脳皮質という神経細胞が集中する組織で覆われていて知的活動の中枢を担っています。
大脳皮質の3分の1を占める前頭葉は、運動野、運動性言語野、前頭前野などからなります。
その他、痛みなどの皮膚感覚や空間把握は、頭頂葉にある体制感覚野や頭頂連合野で、聴覚は側頭葉にある聴覚野、視覚は後頭葉にある視覚野で認識、判断、記憶されます。

1-4.大脳の司令塔、前頭前野

前頭葉にある前頭前野は、集められた情報を基に、認知・実行する大脳の司令塔です。
前頭前野は、目的に応じて計画的に行動することを決定したり、新しい物事を創造したり、アイディアを閃いたりすることができます。
前頭前野から発信される情報、司令は、いろいろな情報を検討して得た判断で「理性」「意識」といえるものです。

1-5.大脳辺縁系

大脳皮質の内側にある大脳辺縁系は、記憶に関わる海馬、海馬と連携して記憶の形成に関わる乳頭体、食欲や性欲、快不快や恐怖など無意識に湧く原始的な感情に関わる偏桃体などからなります。
知的な働きに関わる大脳皮質が「人間ならではの脳」といわれるのに対し、大脳辺縁系は「動物の脳」といわれ、生きていくうえで欠かせない働きを持っています。

1-6.大脳基底核

大脳辺縁系の内側には、視床を取り囲むように大脳基底核が存在していて、運動の開始や停止など、運動を学習して洗練させる機能を持つとされています。

2.記憶のメカニズム

いよいよ記憶のメカニズムについてです。

2-1.記憶の分類と種類

記憶は覚えておける期間によって短期記憶と長期記憶に分けられます。
長期記憶は、陳述記憶と非陳述記憶に分けられます。
陳述記憶は、エピソード記憶と意味記憶に分けられます。これらの形成には海馬が深く関わっています。

・エピソード記憶:実際に体験した出来事の記憶、感覚や感情も深く関連するため忘れにくい記憶
・意味記憶:くり返し反復して覚えた記憶、いわば知識

非陳述記憶は、運動が伴う記憶で手続き記憶とも呼ばれ、大脳基底核と小脳が中心となって記憶が形成されます。

2-2.忘れたり、思い出したりするメカニズム

脳に入った情報は、海馬で一時保存されたのち消去されますが、この時、海馬は情報を選別して、覚えるべき情報を大脳皮質に送ります。
海馬から大脳皮質に送られた情報が、神経細胞を刺激して、たくさんの神経細胞とシナプスが組み合わさって記憶のネットワークが形成されることにより、陳述記憶(エピソード記憶と意味記憶)は保存されます。
このネットワークに電気信号(刺激)を送ることで記憶を呼び覚ますことができます。
物忘れは、老化により記憶を呼び起こそうとする電気信号のエネルギーが弱くなり、ネットワークに信号が届き難くなるのが原因で、記憶自体が消えることで起こるのではありません。但し、あまり長く思い出されない記憶は消去されます。
非陳述記憶(手続き記憶)は、大脳基底核と小脳に保存され、動きを繰り返すことによって形成され、消えることがない記憶とされています。
「体でおぼえる」でしょうか。

3.物忘れと認知症のちがい

物忘れは脳の老化によるもので、認知症は何らかの病気等が原因で脳の神経細胞が壊れて起こる症状(病名ではない)です。
物忘れと認知症の違いは、一部分を忘れるか、そのものを忘れるかです。

4.良い睡眠で記憶の整理、定着

大脳は、毎日活発に働いているのでリフレッシュタイム=睡眠が必要です。
睡眠には、大脳の活動がほぼ停止するノンレム睡眠(深い眠り)と体は眠っていながらも脳は活発に活動しているレム睡眠(浅い眠り)があります。
主にレム睡眠中に、海馬など記憶に関わる場所が活発に活動して、記憶の整理、定着が行われます。

5.まとめ

忘れたくない記憶は日頃から思い出すよう心がけましょう。
「ほら、あれ・・・」「誰だっけ・・・」も時間をかけて思い出すようにすると、記憶のネットワークを刺激してくれそうです。
最近は、スマホなどIT化が進んだため、若い世代にも物忘れが増えているそうです。
良く寝ること、面倒でも頭を使うことが大切ですね。


<参考資料>
図解 眠れなくなるほど面白い脳の話 茂木健一郎 日本文芸社 2020年

<参考ブログ>
アルツハイマー・認知症について
良い睡眠のはなし(基礎編)