前回は食細胞が侵入してきた病原体を食べてわたしたちを守るしくみ「自然免疫」についてでした。
自然免疫だけで退治できない手強い相手には「獲得免疫」が機能します。
◆目次◆
1.樹状細胞による獲得免疫の始動
2.ヘルパーT細胞
3.まとめ
1.樹状細胞による獲得免疫の始動
獲得免疫は樹状細胞が病原体を食べて活性化することによって始動されます。
樹状細胞は食細胞の仲間ですがマクロファージや好中球が病原体を食べて退治しきれない手強い相手が現れた時に出番が回ってきます。
樹状細胞は「抗原提示」能力が著しく高いため免疫の司令塔ともいわれています。
抗原提示とは病原体を他の免疫細胞に伝えることです。
樹状細胞は病原体をペプチド(アミノ酸2個以上の断片)にしてT細胞などのより強力な免疫細胞に抗原提示をしてその活性化を促します。
侵入現場などで病原体を食べた樹状細胞は活性化してリンパ節に移動します。
リンパ節はリンパ管の関所のようなところで多くの免疫細胞が集まっています。
ここで樹状細胞はMHCクラスⅡという分子に病原体のペプチドを乗せて抗原提示をします。
樹状細胞が抗原提示する相手はまだ抗原に出会ったことがないナイーブT細胞です。
ナイーブT細胞には大きく分けてヘルパーT細胞とキラーT細胞があり、MHCクラスⅡ+ペプチドを抗原提示する相手はナイーブヘルパーT細胞です。
(MHCクラスⅠ分子を介した抗原提示の相手はナイーブキラーT細胞です)
T細胞の抗原を認識する受容体はそれぞれ異なっていてその種類はおよそ1,000億個あるといわれています。
但し、同じ種類は約100個しかありません。
このため、病原体のペプチドと合う受容体がほぼ確実に存在はするのですが、出会うためには相手を一生懸命探さないといけなくなります。
通常この出会いは数日以内に完了します。
2.ヘルパーT細胞の活性化
樹状細胞の抗原提示を受けたヘルパーT細胞は先ず仲間を増やします。
その規模はおよそ1,000倍とも10,000倍ともいわれています。
こうして数を増やしたヘルパーT細胞はその多くが病原体の侵入した抹消組織に向かいます。
ここでマクロファージと結合するあるいはサイトカインという物質を浴びせることによってマクロファージなど食細胞の消化能力や殺菌能力をパワーアップさせます。
ヘルパーT細胞の活性化やマクロファージのパワーアップのためには①MHCクラスⅡ+ペプチドの型が一致する②補助刺激分子の結合③サイトカインを浴びるという3つの要件が必要で、活性化した樹状細胞の命が数日で尽きてしまうことを含めて免疫の暴走を防ぐ安全装置となっています。
また、T細胞の抗原認識受容体には自己由来のものがほとんどないのでわたしたちを誤って傷つける心配もありません。
3.まとめ
免役の司令塔・樹状細胞による抗原提示、ヘルパーT細胞の活性化をみてきました。
次回はリンパ節に残ったヘルパーT細胞の役割をみていきます。
<参考資料>
新しい免疫入門 第2版 審良静男 黒崎知博 村上正晃 講談社 2024年
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