免疫機能をおさらいしょう(腸管免疫)

腸には免疫細胞の約50%が存在するといわれています。
食べものに紛れて侵入しようとする細菌やウイルスを阻止するため当然といえます。
同時にからだに必要な成分は排除しないという大切な役割があるため、そのメカニズムは複雑で解明されていないことも多いそうです。

◆目次◆

1.腸管免疫

2.小腸の免疫細胞

3.腸内細菌と免疫

4.まとめ

1.腸管免疫


腸にはからだ全体の免疫細胞の約50%があるとされています。
免疫は異物を排除するメカニズムですが腸管免疫は有害な異物を排除する一方で栄養素は見てみないふりをすると言うとても高度な対応をしてくれています。
これは「経口免疫寛容」と言い、口から入る栄養素に対して免疫反応が抑制されます。

2.小腸の免疫細胞


小腸の内側(腸管内)には絨毛がびっしりと生えています。
絨毛の中には毛細血管とリンパ管が張り巡らされていて毛細血管はアミノ酸やブドウ糖をリンパ管は脂質を吸収します。
絨毛の最外層には粘膜上皮細胞が並び毛細血管やリンパ管のあいだにはたくさんのT細胞や樹状細胞、マクロファージ、プラズマ細胞などが分布していて、プラズマ細胞は腸管内に抗体を放出しています。
絨毛のあいだの台地状のところには粘膜上皮細胞とは別にM細胞という特殊な細胞があって、その下にパイエル板というリンパ組織がありT細胞、B細胞などがいます。
M細胞は特殊な受容体を腸管内に出していて食物と一緒に流れてきた大腸菌やサルモネラ菌などをパイエル板に取り込みます。
パイエル板の中では樹状細胞が待ち構えていて細菌やウイルスを受け取って免疫応答がはじまります。
樹状細胞はパイエル板にいるナイーブヘルパーT細胞に抗原提示してその活性化をうながします。
パイエル板のなかにはB細胞もいて活性化したヘルパーT細胞の助けをかりて抗体を放出するプラズマ細胞になります。
但し、腸管免疫でできたプラズマ細胞は全身免疫でできたものとは種類が異なり(抗体のクラスがIgA)ます。
IgAの抗体は細菌やウイルスにくっつき中和作用によってその機能を停止させますがオプソニン化作用(食細胞をパワーアップさせる機能)はしないそうです。
オプソニン化で食細胞が寄ってきて炎症をおこすことを避けるためとされ、腸管では炎症を起こさないことも大切です。
また、腸管免疫では制御性T細胞(免疫応答を抑制するT細胞)の比率が30%(全身では10%)と高く経口免疫寛容の役割を担っている可能性が高いそうです。

3.腸内細菌と免疫


腸管には1,000種類以上の腸内細菌が常在していて、その数は100兆個を超えるといわれています。
腸内細菌のバランスはわたしたちの健康に重要な影響をおよぼしていて、ある種の細菌は免疫細胞の分化などに関与していると考えられています。

4.まとめ


腸管にはホルモンを分泌する細胞も多数存在していますし、交感神経、副交感神経、感覚神経、運動神経などの神経系が走り食べ物を送り出す蠕動運動をつかさどるとともにさまざまな感覚、ホルモンなどの分泌を制御しています。
腸活はとても大切です。
<参考資料>
新しい免疫入門 第2版 審良静男 黒崎知博 村上正晃 講談社 2024年
<関連コラム>
免疫機能をおさらいしよう(免疫記憶)
免疫機能をおさらいしよう(キラーT細胞)
免疫機能をおさらいしょう(B細胞による抗体産生)
免疫機能をおさらいしよう(樹状細胞による獲得免疫の始動)
免疫機能をおさらいしよう(食細胞による最前線の防御)
血液型による免疫力ランキング -後編-
血液型による免疫力ランキング -前編-
音楽を聴いて免疫力をアップしよう!
免疫力がアップする食品!
免疫と予防対策
免疫のしくみを知ろう!