免疫機能をおさらいしよう(自然炎症)

免疫は細菌やウイルスなどの侵入に対して機能する仕組みで自己成分や栄養素には反応しないよう安全装置が組み込まれていますが、自己成分の一部を認識してしまうことがあります。
マクロファージや好中球など食細胞が自己成分を認識して活性化すると炎症がおこることを自然炎症といいます。

◆目次◆

1.自然炎症

2.疾患と自然炎症

3.まとめ

1.自然炎症

自然炎症はマクロファージや好中球などが自己成分を認識・活性化して細菌やウイルスなどが関わらないのに炎症がおこってしまうことをいいます。
自然炎症の代表的な例は、からだのなかで大量の細胞が死んでしまう場合におこります。
細胞が死ぬパターンはアポトーシスとネクローシスの二つがあり、アポトーシスの場合は内容物が細胞膜につつまれたまま食細胞が分解してくれて終わるのですが、ネクローシス(外傷や火傷、薬物、放射線などが誘因となる)の場合、細胞膜が破れて内容物が飛び散ります。
飛び散った内容物にはDNAやRNAが含まれていてこれらが食細胞の認識受容体にたどりつくと食細胞が活性化して自然炎症がおこってしまいます。
自然炎症がなんのためにおこるのかはまだはっきりわかっていませんが、組織の修復にかかわっていると考えられているそうです。
自己成分(内在性リガンドといいます)によって食細胞が活性化するので、当然、樹状細胞も活性化します。
その場合、自己成分に反応するナイーブT細胞がほとんど存在しないこと、制御性T細胞が存在することなどから獲得免疫が始動することはないそうですが、もしも自己成分に反応するナイーブT細胞が活性化してしまうと少し危険です。
自然炎症が行き過ぎると痛風やアルツハイマー病、動脈硬化、糖尿病などさまざまな疾患の原因にもなるそうです。

2.疾患と自然炎症

例えば、痛風は全身の関節で急性の炎症が繰り返しおこる疾患で激痛をともないます。
原因は血液中の尿酸です。
尿酸は細胞の老廃物で増えすぎると結晶となって関節に付着しこれを食細胞が取り込むと自然炎症がおこってしまいます。
食細胞の細胞質にはNLRP3という細胞内パターン認識受容体があり、食細胞が尿酸結晶を取り込むと細胞にストレスが加わりインフラマソームという複合体が出来上がり、インフラマソームは強い炎症をおこすインターロイキン1βというサイトカインを放出し痛風の炎症、激痛の原因となります。
インフラマソームは尿酸結晶だけでなくアスベストやシリカなどの結晶を取り込んでも活性化して塵肺や珪肺の炎症を引き起こすと考えられており、脳に付着したβアミロイド繊維を脳の免疫細胞ミクログリアが食べるとインターロイキン1βが脳で放出され炎症がおこりアルツハイマー病を引き起こすと考えられています。
そのほか、コレステロール結晶による動脈硬化、ヒト膵アミロイド繊維による2型糖尿病なども自然炎症が原因と考えられているそうです。

3.まとめ

自然炎症は組織の修復のためにおこると考えられていますが、行き過ぎると様々な深刻な疾患の原因となるそうです。
<参考資料>
新しい免疫入門 第2版 審良静男 黒崎知博 村上正晃 講談社 2024年
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