最近はワクチンの話題で満載です。
そもそもワクチンとはどのようなものなのでしょうか。
◆目次◆
1.ワクチンとは
2.ワクチンの種類
3.次世代、核酸ワクチン
4.ワクチンの安全性
5.まとめ
1.ワクチンとは
ヒトの体には【免疫】というシステムがあります。免疫は一度体に入ってきた病原体を覚えて、再度病原体が体の中に入っても病気にかからない、または重症化しないように働いています。
ワクチンは、この免疫システムを利用して作られています。ワクチンを接種することで、ヒトの体は病原体に対する免疫を安全な状態で作り出しているのです。
2.ワクチンの種類
一般的に使用されているワクチンには、大きく分けて生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。
①生ワクチン
生ワクチンは、生きたウイルスや細菌を症状が出ない程度まで弱毒下した製剤です。
生きた病原体が体内で増殖するため、液性免疫(抗体による免疫)と細胞性免疫(マクロファージや細胞障害性T細胞による免疫)の両方を誘導し、自然免疫に近い形で強い免疫力を付けられます。
免疫獲得への効果が強い一方、副反応の可能性も高く、ワクチン接種後しばらくして発熱や発疹などの症状がでる場合があります。
また、生ワクチンの開発には、病原体となるウイルスや細菌をヒト以外の宿主で何度も培養して変異させるため、弱毒化株の樹立には長い時間を要します。
・日本で摂取可能な主な生ワクチン
BCG、水痘、麻疹風疹混合(MRワクチン)、流行性耳下腺炎、黄熱、ロタウイルス
②不活化ワクチン
不活化ワクチンには、「死んだ」病原体や病原体の一部(タンパクや多糖)を用いた製剤です。生ワクチンのように、体内で増殖することがなく安全性は高いですが、液性免疫しか誘導できない場合がほとんどのため、生ワクチンと比較すると、得られる免疫が低く持続期間も短いという欠点があります。
・全粒子ワクチン
ウイルスや細菌などの病原体を加熱や紫外線、化学処理することにより、感染性や病原性をなくした病原体を用います。
・サブユニットワクチン
免疫獲得に必要となる成分を抗原として抽出して用います。
・トキソイドワクチン
病原体から産生される細菌毒素を取り出し、薬品処理を行って無毒化した毒素を抗原として用います。
・組換えワクチン
ウイルスの抗原となる部分の遺伝子を宿主細胞へ導入して、細胞に産生させた組換えタンパク質を用います。必要な抗原だけ発現させた組換えタンパク質によるサブユニットワクチンやカプシドと呼ばれるウイルスの表面タンパク質のみでウイルスゲノムを持たないウイルス様粒子(VLP)などがあります。
・日本で摂取可能な主な不活化ワクチン
DPT-IPV(4種混合ワクチン)、日本脳炎、肺炎球菌、インフルエンザ菌B型(Hib)、B型肝炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ、破傷風トキソイド、成人用ジフテリアトキソイド、A型肝炎、狂犬病、髄膜球菌
3.次世代、核酸ワクチン
新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンとして、注目されているmRNAワクチンは
核酸ワクチンの1つです。
従来のタンパク質型ワクチンとは異なり、DNAやmRNAをベースにした新しい形のワクチンで、病原体のタンパク質をヒトに投与するのではなく、病原体のタンパク質をコードする遺伝子(DNAやmRNA)を投与し、体内でタンパク質を産生せるワクチンです。
抗体を産生する液性免疫だけでなく細胞性免疫も活性化する効果が期待できます。また、対象の病原体が変わってもDNAやmRNAを書き換えることでほかの病原体にも応用ができるため、汎用性が高い技術です。
①ウイルスベクターワクチン
病原体とは別の病原性のない、または弱毒性のウイルスベクター(※)に抗原タンパク質の遺伝子を組み込んだ、組換えウイルスを体内へ投与するワクチンです。細胞内で抗原タンパク質を産生させることで、免疫が誘導されます。しかし、ウイルスベクターには、複製可能なものと複製不可能のものがあります。
ウイルスベクターワクチン自体は、COVID-19以前にすでにエボラ出血熱のワクチンとして実用化されており、また冷蔵保管できる点もメリットです。
※遺伝物質を細胞に送るためのツール。運び屋。
②RNAワクチン
抗原タンパク質を作る情報を持ったメッセンジャーRNA (mRNA)をベースとしたワクチンです。mRNAワクチンを投与すると、細胞内でmRNAが翻訳されて、抗原となるタンパク質が産生され免疫を活性化させます。
mRNAワクチンは不安定なため温度管理が重要など課題もありますが、核内への移行が不要なためゲノム挿入のリスクがなく、他の方法と比べて短期間に容易に設計が可能な点がメリットになります。
③DNAワクチン
抗原タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだプラスミド(※1)DNA(環状DNA)ワクチンで、プラスミドそのものを投与し、核内でmRNAに転写され細胞質で抗原タンパク質を産生させるため、mRNAワクチンと比べて転写と翻訳の2ステップの工程が必要となります。免疫原性(抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質)が低いためアジュバンド(※2)を併用するなどの対策が必要です。
※1プラスミド・・・細胞内で複製され、娘細胞に分配される染色体以外のDNA分子の総称。
※2アジュバンド・・・薬物による効果を高めたり補助したりする目的で併用される物質や成分の総称。
4.ワクチンの安全性
ワクチン接種による副反応をゼロにすることはできません。
副反応の多くは接種部位の痛みや腫れ、微熱な1どで、症状は1~3日程度で治まりますが、まれに重篤な副反応が起こることもあります。また、強いアレルギーを持っている方は、ワクチンの接種はできません。接種を受けるとショック(アナフィラキシー)を起こす危険性が高いためです。
2020年12月COVID-19ワクチンとして初めてヒトに使用したmRNAワクチンは、1年足らずで実用化・製品化されており、何年後、何十年後の体への影響(自己免疫疾患など)については、当然ながら未知の世界です。
5.まとめ
新型コロナウイルスワクチンは筋肉注射で接種します。痛みはそれほどないと言っていますが、注射が大嫌いな私は、どの種類のワクチンも、経口で接種がしたい。(切実)
1年足らずでワクチンを作れる技術があるならば、注射でなくても接種できる方法は見つけられるはずと、素人考えで思っている次第です。
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