ドラッグストアで“ヘパリン類似物質配合化粧水”というものを見つけました。
はて?ヘパリン類似物質とは・・・?
どういう成分なのか調べてみました。
◆目次◆
1.ヘパリン類似物質
2.保湿剤は大きく2種類ある
3.ヘパリン類似物質の効果効能
4.ヘパリン類似物質配合の医薬品と医薬部外品
5.まとめ
1.ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質とは、人の体内で生成される「ヘパリン」という物質の構造に似せて、人工的に作り出した物質です。
■ヘパリン
肝臓でつくられ、血液を固まりにくくする抗凝固作用があるため、医療の現場では血栓寒栓症の予防や治療、カテーテル挿入時、人工透析の際に血液が固まるのを防ぐ目的などで長年使用されてきました。
■ヘパリン類似物質
“親水性”があり、水分子を引き寄せて保持する“保水性”があるため、皮膚の奥深くまで浸透させる高い保湿効果があります。そのため高い保湿力が期待できることから、医薬品として用いられ、乾燥による皮膚炎などに対して処方されます。
ヘパリンとヘパリン類似物質は、どちらも医療現場で使用されていますが、効能や治療目的が異なる別の医薬品です。
2.保湿剤は大きく2種類ある
乾燥対策に用いられる保湿剤には大きく2種類に分かれ、「エモリエント」と「モイスチャライザー」といいます。
=エモリエント(保持)=
ワセリンに代表され、皮膚表面に油分のベールを覆って水分の蒸発を防ぐものをいい、成分そのもの自体には強い保湿効果はありません。
■ワセリン
ワセリンは石油由来の保湿成分です。しっかりしたテクスチャーで、皮膚の表面に膜を張り、角質層の水分が蒸発するのを防ぐとともに、外部刺激から皮膚を保護することができます。肌の奥にまでは浸透せず、充分な保湿効果を期待できません。ワセリンの純度を高めたものはプロペトと呼ばれていますが、こちらも効果効能は同様です。
=モイスチャライザー(保湿)=
水分を保持する作用をもつ“ヒューメクタント(保水)”を含み、高い保湿作用があります。ヒューメクタントの代表が、ヘパリン類似物質、尿素、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン、アミノ酸です。(セラミドはエモリエントに含まれることもあります)※ヒューメクタント・・・高分子ポリマー構造を持ち、水と混ざることで粘性が出るのが特徴です。
■尿素
尿素は、角質細胞内にあるNMF(天然保湿因子)を構成する成分のひとつです。水分を引き寄せて肌内部に水分の膜を作り出すほか、皮脂と混ざり合うことで肌のバリア機能を保つという効果があります。通常、老人性乾皮症、アトピー皮膚などの皮膚炎の治療に用いられます。
■セラミド
セラミドは、体内にある角質細胞間脂質のひとつであり、角質細胞同士の隙間をうめる脂質をもっています。保水力があり、水分が蒸発しないようバリア機能の役割をもちます。セラミドは、この角質細胞間脂質の約50%を占め、皮膚の保湿維持に大事な成分ですが、加齢により減少します。このセラミドが不足して乾燥の原因となります。
■コラーゲン
コラーゲンは、皮膚の中層である真皮をつくる成分で、皮膚の弾力を保つ働きをしています。コラーゲンも加齢とともに減少します。コラーゲンは分子量が大きいため、皮膚に直接塗っても浸透しませんが、保湿能力に優れているため化粧品に配合されていることがあります。なお、飲むタイプのコラーゲンも市販されていますが、消化吸収の過程でアミノ酸に分解されてしまうため、コラーゲンの形で皮膚に補給される効果はないそうです。
■ヒアルロン酸
ヒアルロン酸もコラーゲンと同様に真皮をつくる成分の1つで、ムコ多糖類の一種です。ヒアルロン酸は、自身の重量の約6000倍の水を吸着できる強い保水力があるため、様々な基礎化粧品に配合されており、肌表面への保湿効果が期待できます。
3.ヘパリン類似物質の効果効能
大人だけでなく0歳の赤ちゃんにも使用できるヘパリン類似物質の効果や効能は一体どのようなものでしょうか。
■保湿
ヘパリン類似物質は、“親水性”と“保水性”を持ち、角質層の内部に浸透して働きかけるため、高い保湿効果が期待できます。
保湿効果があるヒアルロン酸やコラーゲンなどの成分が、肌表面にとどまることと比較すると、ヘパリン類似物質が非常に高い保湿効果をもつことが分かります。
■血行促進
血液の流れを促進する効果があります。また、皮膚の新陳代謝を促進するため、傷跡や火傷の跡を治しやすくする効果も期待できます。
■抗炎症
皮膚の荒れを正常な状態に戻す鎮静効果があり、乾燥による炎症、ひび割れ、外傷(打撲、捻挫、挫傷)による腫れ、火傷痕の治療、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防にも使用されています。
4.ヘパリン類似物質配合の医薬品と医薬部外品
ヘパリン類似物質が配合されたスキンケア用品には医薬品と医薬部外品があります。どのような違いがあるのか見てみましょう。
■有効成分量の差
医薬品(処方薬市販薬ともに)には、ヘパリン類似物質が0.3%含まれています。通常、市販薬には医療用医薬品より少ない量の有効成分が配合されていますが、ヘパリン類似物質は市販薬にも医療用医薬品と同量の有効成分が配合されているそうです。
医薬部外品にはヘパリン類似物質が医薬品より少なく配合されているため、作用は医薬品に比べて緩やかです。
■期待される効果の違い
保湿剤としての効果は医薬品>医薬部外品>化粧品となるのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。
なぜなら保湿効果には有効成分以外のワセリンやグリセリンなどの基材が大きく影響することがあるためです。
含まれる有効成分量が同じでも、水性クリームや油性クリームなど製剤の性質によって保湿効果にも違いが出てきます。
5.まとめ
皮膚科で処方される「ヒルドイド」というクリーム。
実はこれ、主成分はヘパリン類似物質なのです。
ヒルドイドはヘパリン類似物質が含まれる処方薬(医療用医薬品)の商品名です。
さてこのヒルドイド、「美容目的で処方してもらう人が増えた」と問題になりました。
処方薬は市販薬よりも安いため手に入れたいのは分かりますが、あくまでも処方薬は治療を必要とする人が使うためにあるものです。
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