脳腸相関(脳と腸をつなぐネットワーク)

腸は「第2の脳」だそうです。
これまでも度々取り上げてきましたが脳と腸の深い関係を数回にわたってみていきたいと思います。
今回は脳と腸が影響を及ぼしあうためのネットワークについてです。

◆目次◆

1.脳腸相関

2.脳と腸をつなぐネットワーク

1.脳腸相関

緊張や不安でお腹が痛くなったり、お腹の調子が悪くて気分が滅入ってしまうなど普段当たり前に感じていることは、実は脳と腸がお互いに影響しあっているため起こっていてこれを脳腸相関といいます。

2.脳と腸をつなぐネットワーク

私たちの神経は脳と脊髄(せきずい)から構成される中枢神経系と手足の先まで張り巡らされた末梢神経系からなっています。
中枢神経系は様々な指令を各器官に出していてこれを伝達するのが末梢神経の役割です。
末梢神経には運動や感覚に関与する運動神経や感覚神経、臓器の運動や機能に関与する交感神経と副交感神経など自律神経、そして腸の機能を調節する腸管神経の3つがあります。
脳からの指令を各器官に伝達するのは運動神経の役割で各器官から脳に情報を伝えるのは感覚神経の役割です。
末梢神経のうち脳に直接つながっている神経を脳神経といい、中でも血圧や血中酸素濃度の情報、消化器や呼吸器などの情報を伝える感覚神経、喉のまわりや声帯の筋肉を動かす運動神経、心拍数や胃酸の分泌を調節する副交感神経からなる脳神経を迷走神経といいます。
脳は迷走神経を介して腸の機能を促進するシグナルを、交感神経を介して腸の機能を抑制するシグナルを腸に伝達しています。
腸の主な役割は食物の消化・吸収で、蠕動運動(ぜんどううんどう)や分節運動、振子運動といった運動によって食物を粉砕したり混ぜ合わせたりしています。
腸はこれらの運動を脳や脊髄の助けを借りずに行っていて、これを可能にしているのが腸管神経系の存在で、脳は迷走神経や交感神経を介して腸管神経系の活動を外部から調節しています。
一方、私たちは食事を摂らないと空腹を感じますし食事を摂れば満腹を感じます。
これは腸が求心性迷走神経(内臓感覚神経)という遠心性迷走神経(副交感神経)と並行して走る神経を介して脳に情報を伝えているからです。
これまで自律神経系は脳から各器官へ情報を伝える(これを遠心性といいます)だけで構成されていると考えられてきましたが、副交感神経の75%、交感神経の50%は各器官から脳に情報を伝える(これを求心性といいます)役割をもっています。
次回はホルモンなど情報を伝達する物質やその仕組みについてみていきます。
<参考資料>
「腸と脳」の科学 坪井貴司 講談社 2024年
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