腸と腸内細菌と乳酸菌


「人には人の乳酸菌」TVCMなどで良く耳にするフレーズです。
腸と乳酸菌の関係をおさらいしてみました。

◆目次◆

1.腸の働き

2.腸内細菌

3.乳酸菌

4.乳酸菌の可能性

5.まとめ

1.腸の働き


腸は、消化や吸収を担う小腸と、排泄を担う大腸に大きく分かれています。
〇小腸
小腸は胃と大腸の間にあり、十二指腸、空腸、回腸からできています。栄養素を吸収する「ひだ」が約500万本もあり、小腸全体の表面積は約200㎡(約60坪)あります。

~消化・吸収~
胃で消化されたドロドロ状態の食物は十二指腸へ送られ、胆汁と膵液によってさらに細かく分解され空腸・回腸へ送られます。
空腸・回腸では、分泌された腸液と混ざります。この腸液には、各種の栄養素を分解する消化酵素が含まれています。
食物に含まれていた栄養素のほとんどと水分の約80%が吸収されます。

~免疫細胞~
小腸は胃酸を通過して侵入してきた異物や病原菌が体に侵入することも防いでいます。この役割を担っているのが白血球の仲間、免疫細胞で、小腸には体内の約60%の白血球が集まっています。ちなみに乳酸菌も小腸で吸収され、その成分が免疫の活性化をうながしています。
〇大腸
大腸では、小腸で消化・吸収されなかった、食物繊維などを二次利用したり、水分を吸収して、残ったものを便として排泄していきます。
また、大腸には多種多様な腸内細菌が棲息していて、栄養素や食物繊維などから様々な成分を作り出しています。

2.腸内細菌


腸内にはおよそ100種から3,000種類の細菌が100兆個から1,000兆個も生息しています。一般に人の細胞数が60~70兆個程度と言われているので、約16倍もの腸内細菌が存在しています。これらの腸内細菌は、種類ごとにまとまって、腸内の壁に生息しています。
その様子がお花畑のようなので、腸内フローラとも呼ばれています。※お花畑=flora
また、腸内細菌は脳内物質を生成しているため“腸は第2の脳”と呼ばれています。
腸内に生息している細菌は、大きく「善玉菌(有用菌)」「悪玉菌(有害菌)」「日和見菌」の3タイプに分かれています。

〇善玉菌
善玉菌は、腸内を酸性にし、食物の消化吸収を助け、外から入った有害な菌を攻撃したり、免疫力を高めてくれます。また普段は上手に悪玉菌を抑えてくれています。
代表的な善玉菌・・・ビフィズス菌・乳酸菌・アクチノバクテリア門など
〇悪玉菌
悪玉菌は、腸内をアルカリ性にするのが好きで、腸内を腐敗させたり、発がん物質や毒素のある有害物質を作り出します。また、体の抵抗力を弱め、下痢や便秘を引き起こしたりします。
代表的な悪玉菌・・・ウェルシュ菌・ブドウ球菌・大腸菌(有害株)・プロテオバクテリア門など
〇日和見菌
日和見菌はその時々の腸内の環境によって、良い働きも悪い働きもします。「どっちの味方でもないけど、強い方についていく」という菌です。
代表的な日和見菌・・・連鎖球菌菌・大腸菌(無害菌)・バクテロイデス門・フィルミクテス門など
〇理想的な腸内細菌のバランス
「善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌7割」といわれています。
一般的に善玉菌が優勢になると善玉菌、悪玉菌、日和見菌ともに人体に有効な活動を行います。悪玉菌が優勢になると、腸内環境は悪化し、腸は老化してしまいます。
しかし、腸内細菌の分布にはかなりの個人差があり、「適正な腸内細菌のバランス」は正確には分かっていないのが現状です。

3.乳酸菌


善玉菌とも呼ばれる乳酸菌は、糖類などの炭水化物を分解して乳酸を産生する細菌類の総称です。通性嫌気性菌に分類され、酸素が存在していても生育できるため、人の腸管以外に牛乳や乳製品、漬け物など一部の発酵食品、自然界に棲息しています。
乳酸菌は、他の微生物と共生あるいは拮抗することによって腸内環境を一定の状態に保ち続けようとすることに役立っていると考えられています。
〇乳酸菌の形態属名
乳酸菌は菌の形から大きく分けると、「桿菌」と「球菌」に分類されます。
・棒状の「桿菌(かんきん)」
ラクトバシラス属・・・消化管に多く生息
・球状の「球菌(きゅうきん)」
エンテロコッカス属・・・回腸、盲腸、大腸に生息
ラクトコッカス属・・・牛乳や乳製品に多くみられる
ペディオコッカス属・・・ピクルスなどの発酵植物製品から分離されることが多い
ロイコノストック属・・・ザワークラウト(ドイツのキャベツの漬け物)などの発酵植物製品から分離される
ストレプトコッカス属・・・発酵乳製品に含まれており、一般的にヨーグルトの製造に利用されている
☆乳酸菌とは異なる性質の菌、ビフィズス菌。
V字・Y字状、湾曲状などの「不規則な形態・配列の小桿菌」でビフィドバクテリウム属、俗にビフィズス菌と呼ばれています。
ビフィズス菌は、乳糖やオリゴ糖などを分解して乳酸や酢酸を産生しますが、乳酸の割合が50%以下になるため、乳酸菌とは異なる菌となっています。
また、ビフィズス菌は酸素を必要としない偏性嫌気性菌に分類されます。そのため酸素がほとんどない大腸に99.9%の割合で存在しています。(乳酸菌は0.1%の割合で存在)
ビフィズス菌は乳酸菌の100倍以上多く腸内に棲息し、腸内細菌の約10%(成人の場合)占めていますが、「年を重ねるとともにビフィズス菌が減少していく」という特徴があります。

4.乳酸菌の可能性


乳酸菌は整腸作用の他にも、研究が進むにつれてさまざまな可能性があることがわかってきました。

乳酸菌に期待されている可能性

〇免疫力アップ

〇アレルギー(花粉症など)症状の改善

〇虫歯・歯周病予防

〇感染抑制

〇発ガン抑制

〇中性脂肪・血中コレステロール値の低下

〇ストレス緩和

〇美肌効果

〇自律神経を整える

〇安眠効果

〇アルツハイマー抑制

〇ダイエット

5.まとめ

乳酸菌やビフィズス菌は糖類を栄養源としています。

極端な糖質制限をしている方は、腸内細菌のバランスが崩れる可能性も考えられますね。

<主要参考文献>
「乳酸菌、宇宙へ行く」 ヘルシスト編集部編

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