食べ物の旅。体のしくみを知ろう!


毎日、良い食事とれていますか。
食生活は、健康の基礎、おそらくもっとも大切です。
現在は飽食の時代と言われ巷にはありとあらゆる食べ物が氾濫しています。
一方、私たちの食生活は、高カロリーで塩分、糖分、脂肪分などを摂り過ぎる健康には良くない方向に変化してしまっているようです。
今回は、食べ物が体の中でどのような旅をするか見ていきます。一生懸命働いている臓器たちのことを知ると少し健康に気遣うようになれると思います。

◆目次◆

1.食べ物の旅

1-1 歯と唾液腺

1-2 食道

1-3 胃

1-4 十二指腸(小腸)

1-5 膵臓

1-6 空腸と回腸(小腸)

1-7 肝臓

1-8 大腸

2.腸内フローラ

3.まとめ

1.食べ物の旅

1-1 歯と唾液腺

旅の始めに、食べ物がまず出会うのは、歯と唾液腺です。
食べ物は、歯によって噛み砕かれ唾液と混ぜ合わされて消化しやすい形となって食道に向かいます。

1-2.食道

食道は、のどと胃をつなぐ約25センチの管で食べ物が逆流するのを防ぎ、胃に送り込む役割を果たしています。
食道には3箇所、食べ物がつまりやすい場所があり、入口と中間地点(気管支と交叉するところ)と出口(横隔膜をつらぬくところ)です。
良く噛むことで食べ物がつかえにくくなります。

1-3 胃

食べ物は、胃で胃液とぜん動運動によって分解されます。
胃は伸縮性に富んでいて空の時の容積は約50ミリリットルですが満腹時は約1.5リットルまで膨張します。
胃の入口は噴門と呼ばれ、噴門が開いて食べ物が胃に入ると、胃小窩と呼ばれるくぼみから胃液が分泌されます。
胃液の分泌量は1日約3リットルにもなり、主な成分は塩酸、ペプシノーゲンという消化酵素、粘液です。
塩酸は、食べ物を殺菌して腐敗や発酵を防ぎます。また、食べ物に含まれる鉄やカルシウムを酸化させて吸収しやすい形にします。
ペプシノーゲンは、塩酸に触れてペプシンに変り、食べ物に含まれるタンパク質を分解します。
粘液は、塩酸から胃の内壁を保護します。
食べ物が幽門と呼ばれる出口に近づくと幽門が開いて十二指腸に向かいます。

1-4 十二指腸(小腸)

十二指腸(ここから小腸です)は、胆汁や膵液などの助けを借りて食べ物をさらに細かく分解します。ここまでくると食べ物はもはや栄養素になっていますので、以後、栄養素と言います。
十二指腸は、直径約4センチ長さ約30センチで、酵素やホルモンを分泌する十二指腸線があります。また、肝臓でつくられた胆汁と膵臓でつくられた膵液が排出口もあります。
十二指腸線からは消化酵素エンテロキナーゼや膵液の分泌を促すホルモンが分泌されます。
胆汁は、脂肪を分解するのに役立っています。
膵液は、タンパク質を分解するトリプシンやキモトリプシン、炭水化物のうちデンプンを分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼなどの酵素を含んでいます。

1-5 膵臓

膵臓は、胃のうしろにある重さ約100グラム長さ15センチの臓器です。
前述のような消化液を分泌する機能とホルモンを血液中に分泌する機能があります。
膵臓にあるランゲルハンス島ではインスリンとグルカゴンという正反対の働きを持つホルモンが分泌され血糖値を調整しています。

1-6 空腸と回腸(小腸)

十二指腸で分解された栄養素は、空腸と回腸(ここも小腸です)に送られ、そのほとんどと水分の約8割が吸収されます。
空腸と回腸は、直径約4センチ長さ約6メートルで表面に約500万本の絨毛があります。この絨毛によって小腸全体の表面積は約200㎡(約60坪!)になります。
栄養素が効率良く吸収されます。
栄養素は、空腸・回腸で腸液と混ざり、タンパク質はアミノ酸に、炭水化物のうち糖類は果糖やガラクトースなど単糖類に分解されて毛細血管から肝臓に向かいます。
脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解されてリンパ管に吸収され、大部分は血管に流れ込み一部が肝臓に向かいます。

1-7 肝臓

肝臓は、重さ1~1.4キロある人体最大の臓器で、腸で吸収された栄養素を体内で必要な形につくりかえます。
主な働きは、
・栄養素の再合成:腸で分解されたアミノ酸をタンパク質に、単糖類をブドウ糖に、脂肪酸とグリセリンをコレステロールや中性脂肪などに再合成して全身の組織に供給します。
・胆汁の生産
・解毒作用:アンモニアや有害な細菌などを無害化します。無害化された物質は尿として排出されたり、胆汁の材料となります。
・赤血球の分解:古くなった赤血球のヘモグロビンを分解して胆汁の材料をつくります。
・栄養素の貯蔵:鉄、ビタミン類、アミノ酸、グリコーゲンなどを貯蔵して必要なときに血液中に放出します。
・アルコールの分解:酵素の働きでアルコールを分解して体外に排出できる形に変えます。

1-8 大腸

大腸は、小腸で吸収されなかった水分、栄養素、食物繊維などを処理して便をつくります。
大腸(回腸の後半部分を含む)には腸内フローラという様々な腸内細菌が棲むコロニーがあります。

2.腸内フローラ


腸内フローラに棲む腸内細菌は、栄養素や食物繊維などから様々な成分をつくりだしています。
例えば、乳酸菌やビフィズス菌はオリゴ糖などから乳酸や酪酸をつくりだしています。わかりやすく言うと「発酵」です。
ウォルシュ菌や大腸菌などはタンパク質を分解しています。一方、タンパク質の分解過程で、においが発生したり、有害物質がつくりだされます。わかりやすく言うと「腐敗」です。
ウォルシュ菌などがあまり増えてしまうと、腸内フローラが乱れ、美容や健康に影響をおよぼします。
腸内細菌にはそれぞれ役割がありますので、腸内フローラのバランスを整えることが大切です。
一般的に乳酸菌などは善玉菌とよばれ、ウォルシュ菌などは悪玉菌とよばれ、その他の菌は日和見菌とよばれ、腸内フローラのバランスは善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7が良いとされています。
腸内フローラのバランスにもっとも影響を与えるのは食事です。
野菜や穀類など植物性食品を中心に食事をしている人と動物性食品を中心にしている人とでは腸内フローラが大きく異なります。
植物性食品中心の食事をしている人の腸内フローラでは、食物繊維を分解する腸内細菌が多くなり、酢酸、プロピオン酸、酪酸など、腸内フローラの環境を整えたり、様々な部位の調節機能となる短鎖脂肪酸がたくさんつくりだされます。

3.まとめ


駆け足ですが、食べ物の旅、いかがでしたか。
私たちの体はそれぞれの臓器や食べ物などが関わりあう複雑な循環システムのようです。一度バランスを崩すとその影響は各方面に及びかねないと考えられます。
健康の基礎、食生活を整えて臓器たちにいつまでも良い仕事をしてもらいましょう。

<参考資料>
新版からだのしくみカラー事典 垣内義亨・監修 主婦の友社 2016年
腸を鍛える 光岡知足 祥伝社 2015年
腸内細菌叢 健康と疾患を制御するエコシステム(実験の医学)大野博司・編集
羊土社 2019年

<参考ブログ>
腸内フローラ改善の新常識、腸の働きとバイオジェニクスを中心に。