食物繊維のナゾ


お通じには食物繊維を摂ろう!と昔から言われています。食物繊維とは何者なのか、探ってみようと思います。

◆目次◆

1.食物繊維とは

2.水溶性と不溶性

3.食物繊維とオリゴ糖

4.食物繊維の摂り方

5.まとめ

1.食物繊維とは

食物繊維とは、人の消化酵素では消化されない炭水化物で、第六の栄養素とも言われています。消化されずに大腸まで到達した食物繊維は、腸内細菌によって短鎖脂肪酸やメタンガス、水素などに分解されることが分かってきました。短鎖脂肪酸の83%が酢酸、プロピオン酸、酪酸で占められ、産生された短鎖脂肪酸の大部分は大腸から吸収されます。酢酸は人のエネルギー源、プロピオン酸は肝臓で糖新生の原料として利用、酪酸は結腸細胞に優先的にエネルギー源として利用されます。食物繊維は腸内細菌による発酵分解によって1gで0~2キロカロリーのエネルギー(代謝)が産生するとみられています。食物繊維は消化されないという点で、エネルギーがないと思われがちですが、エネルギーゼロではありません。
食物繊維の摂取量は、成人男性で1日19g以上、成人女性は1日17g以上です。食物繊維は、大腸内で腸内細菌により人が吸収できる分解物に転換されることから、食後長時間を経てから体内にエネルギーとして吸収される特徴を持ち、エネルギー吸収の平準化に寄与しています。また、食物繊維の存在を前提とした考え方では、食物繊維の不足は大腸の機能不全につながることになります。食物繊維を非デンプン性多糖類と呼ぶこともあります。
現在では食物繊維が大切だということは誰もが知っていることなのですが、かつては、“消化されず役に立たないもの”と言われていたそうです。それが、1970年前後、食物繊維が少ないと腸内の疾患リスクが上がるだろうという説が広く知られるようになり、1975年に「精製炭水化物と病気-食物繊維の影響」という本が出版され、科学的研究によって食物繊維は有益と確認されていったそうです。

2.水溶性と不溶性

食物繊維はおもに植物の細胞壁を構成する成分で、水に溶けるかどうかで、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大別されます。

・水溶性食物繊維
水に溶ける食物繊維。植物の細胞内にある貯蔵物質や分泌物で、水に溶け、腸内で食物の水分を吸収しゲル化(ゼリーのような状態)します。粘性があり、ペクチン、アルギン酸、ポリデキストロースなどの成分が知られ、海藻類、こんにゃく芋などに含まれています。
小腸で糖が吸収される際、膨張した水溶性食物繊維によって糖が消化酵素と接しにくくなり、吸収に伴う血糖値の上昇が穏やかになるそうです。また、満腹感を促進して肥満予防や腸内活動の活発化、便秘の予防、糖尿病などの生活習慣病などの予防・症状改善に効果があるとされています。
・不溶性食物繊維
水に溶けない食物繊維。穀類や野菜、豆類などの細胞壁の基本的な成分であるセルロースを中心として、ヘミセルロースやリグニンが加わり、複雑に絡み合ったものです。一般的に、保水性がよく、また腸内に住みついている細菌類によって分解されにくいため、便を増やす効果や、便を柔らかくする作用があります。また、腸を刺激して腸の蠕動運動を盛んにし、便の通過時間を短縮させます。これらの作用は、腸内環境を改善して便秘や腸の病気予防に役立ちます。

3.食物繊維とオリゴ糖


オリゴ糖は単糖が3~9個結合したもので、少糖とも言います。オリゴ糖は約20種類あり、その中には、人の消化酵素では消化されない、あるいは消化されにくい性質を持っている難消化性オリゴ糖があります。それらは食物繊維に分類されるそうです。
オリゴ糖は、エネルギーになりにくいため、ダイエット用の甘味料などに利用されています。(※カロリーゼロではありません。)また、血糖値のコントロールや虫歯予防、カルシウムの吸収をよくする働きがあるそうです。
難消化性オリゴ糖は、そのまま大腸に届き、腸内細菌のエサとなります。特に善玉菌を増やして腸内環境をよくする働きがあります。便秘の解消に効果的なオリゴ糖ということで、特定保健用食品として許可されているものもあります。ただし、摂り過ぎるとお腹がゆるくなったり、ミネラルやビタミンなど、必要な栄養素の吸収が抑制されたりすることもあります。摂り過ぎには注意が必要です。

4.食物繊維の摂り方


便秘を解消しようと、がむしゃらに食物繊維を摂る方も多いと思います。しかし、お通じに合わせて水溶性、不溶性の食物繊維の摂り方のバランスを考えないと便秘の解消にはならないそうです。
●直腸性タイプの便秘(便は硬くて大きい、便意を我慢する、残便感・出口で固まっているなど)の方は、水溶性食物繊維と水分を積極的に摂ってみましょう。柔らかく量のある便の状態を作り、規則正しい生活を送りましょう。
●弛緩性タイプの便秘(便が硬く太くコロコロ、お腹が張っている、便意をあまり感じないなど)の方は、不溶性食物繊維を多く摂ってみましょう。便の量が増え、腸が刺激されて腸が動きやすくなるそうです。
●痙攣性タイプの便秘(便が小さくコロコロ、便秘と下痢が交互、ストレスを感じるなど)の方は、水溶性食物繊維を多く摂ってみましょう。このタイプの方は、ストレスにより腸が過敏になっている場合が多いため、不溶性食物繊維を多く摂ると腸が刺激されすぎるので摂取は控えたほうがよさそうです。
砂糖などの甘味料をオリゴ糖に替え、発酵食品に含まれる乳酸菌を一緒に摂り、善玉菌を増やして腸内環境を良くしましょう。
血糖値には・・・
血糖値の上昇を緩やかにするために、食物繊維を一緒に摂ると良いそうです。ごはんや麺、パンなどの穀類を食べるときには、野菜を多めに食べましょう。また、穀類を玄米や胚芽米、ライ麦など食物繊維を多く含んでいるものに変えるのもいいでしょう。
コレステロールには・・・
食物繊維は、コレステロールから作られる胆汁酸(油を体内に吸収しやすくする)を体外へ排出するのを促進する働きがあります。コレステロールを多く含む食品を食べるときは、食物繊維と一緒に食べましょう。
食物繊維は、水溶性・不溶性それぞれ異なる生理作用を持っています。
食物繊維をバランスよく摂るために、特定の食品に頼るのではなく、多種類の食品を組み合わせて摂るのが良いと思います。

5.まとめ


私たち日本人が最も食している和食。肉・魚・野菜・発酵食品など、色々な食材で作るので、食物繊維やさまざまな栄養を上手く摂ることができます。
詳しくは、和食はダイエットに良い?発酵食品を摂ろう!麹菌はすごい!を読んでください。
さて、本サイトでは度々出てくる言葉があります。
それは「バランスの良い食事」です。
健康・美容の原点は、この一言に尽きるような気がします。

<参考資料>
あたらしい栄養学 著:吉田企世子・松田早苗 高橋書店
栄養素の通になる第4版 著:上西一弘 女子栄養大学出版部
<参考ブログ>
腸内フローラ改善の新常識、腸の働きとバイオジェニクスを中心に。
和食はダイエットに良い?発酵食品を摂ろう!麹菌はすごい!