
子供のころから眠ることが大好きでどこでも眠れるし、試験前の徹夜なんてどんなに切羽詰っても無理でした。最近は特に夕食後、電池が切れたようにひと眠りしてしまうことが多くなりました。「これって健康的にどうなのよ?」
眠ることは生命を維持するため欠かせない大切な行為です。ヒトは一生のうち25%から30%を眠って過ごします。百歳まで生きるとしたら25年から30年という長い時間を眠っている訳です。
近年、睡眠は科学的に分析されるようになり、多くの事が解明されています。しかし、「ヒトはなぜ眠るのか。」と言う単純な問いに対する答えすら未だ見いだせていないようです。
今のところ「ヒトは眠いから眠る。」が正解だそうです!
良い眠りを得るためのヒントを探すため、まずは睡眠の基礎を調べてみました。
◆目次◆
1.睡眠の基礎
2.睡眠の役割
3.睡眠負債とは
4.まとめ
1.睡眠の基礎

1-1 睡眠とは
睡眠とは「外部からの刺激に対する反応が低下している状態、且つ、容易に回復する(起きる)もの。」と定義されています。例えば、全身麻酔が効いている状態は、外部からの刺激に対する反応は低下していますが容易に回復しない(起きない)ため睡眠とはみなされません。
厳密には脳波の状態によって起きているか眠っているか判定されます。以後、起きている状態を「覚醒(かくせい)」、眠っている状態を「睡眠」と言います。
1-2 覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠という2つがあります。
私たちの状態は、覚醒しているか(起きているか)、ノンレム睡眠中か、あるいはレム睡眠中かに分かれることとなります。
1-3 ノンレム睡眠とレム睡眠
ヒトは睡眠に入るとまずノンレム睡眠に入ります。この時、脳も身体も活動を休止した状態になります。ノンレム睡眠がしばらく続くと(約60分から90分)、脳は活動を再開します。これをレム睡眠と言います。ノンレム睡眠は、その深さによって4段階まであります。
レム睡眠中、脳は時に、覚醒している時よりも強く活動しています。ところが外部からの刺激や身体の運動を促す情報が遮断されているため身体は眠った状態のままです。レム睡眠がしばらく続くと、脳はまたノンレム睡眠に入ります。
このように睡眠中は、ノンレム睡眠とレム睡眠という全く異なる状態が規則正しく繰り返され、これを睡眠単位と言います。
睡眠単位は、約90分から110分で1単位となり4回から5回繰返された後、覚醒します。
2.睡眠の役割

睡眠の役割とはそもそも何なのでしょうか。実はその役割はまだ完全に解明しきれていないようです。しかし、睡眠不足の影響は誰でも理解できると思います。
睡眠不足だと、注意力が散漫になったり、仕事中や運転中に一瞬居眠り(マイクロスリープと言います)してしまったり、冷静な判断力が鈍ったりします。これらを回避して正常で健康的な生活を営むためにこそ、睡眠の役割があると言えるでしょう。
2-1 睡眠は脳のメンテナンス時間
睡眠には、身体を休息させるだけでなく、脳のメンテナンスを行う役割があります。脳への栄養供給や老廃物の排出が主にノンレム睡眠中に行われています。
例えばアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβというタンパク質は、覚醒中に海馬という脳の記憶を司る場所に蓄積され、睡眠中に洗い流され減少するそうです。
2-2 運動能力、記憶力の向上
ノンレム睡眠の第2段階は、運動能力や記憶力を向上させる働きがあるそうです。
スポーツや楽器の演奏など、言葉で表現することが難しく繰り返し練習しながら習得するものを手続き記憶(非宣言的記憶)と言い、その向上に睡眠は深く関わっています。
試験勉強など、言葉で表現できて意識的に覚えこむ記憶を宣言的記憶と言います。宣言的記憶も睡眠を良く取った方が、記憶の強化のみならず向上につながるそうです。
2-3 身体的回復
ノンレム睡眠の第3、4段階は、一般に深い眠りと言われ、身体的回復が最も促されます。この段階では、新しい細胞の生成や、傷んだ組織の修復など日々消耗する身体を回復させるため必要なホルモンの分泌が増え、若返りに欠かせない睡眠ともいえるでしょう。
2-4 創造的能力の向上
レム睡眠の役割はもっとも解明が進んでいないのですが、情報の関連付けや、創造的能力の向上に役立つとされているようです。
尚、夢は、レム睡眠中によく見るのですが、情報を整理している過程のノイズと考えられています。
2-5 腸内フローラを正常に保つ
腸内フローラを正常な状態に保つためには規則正しい睡眠が重要です。睡眠不足などによって腸内フローラが悪化することがあります。
腸内フローラを詳しく知りたい方は「腸内フローラ改善の新常識、腸の働きとバイオジェニクスを中心に。 」をご覧ください。
2-6 肥満の防止
睡眠不足によってレプチンという食欲の抑制に働きかけるホルモンの生成が減少することがあり過食に偏りやすくなってしまいます。つまり、良い睡眠が肥満を防止しているともいえるでしょう。
3.睡眠負債とは
基礎編の最後に、最近よく耳にする睡眠負債についてです。
睡眠負債とは、覚醒中に蓄積される睡眠誘導物質が睡眠不足などによって蓄積されていくことを言い、本命はアデノシンとよばれる物質のようです。
睡眠負債は、今のところ、その後の睡眠によってのみ解消(睡眠負債の返済)可能だそうで、「寝だめは出来ない」とも関連がありそうですね。
4.まとめ

生まれてからずっとお付き合いしている大好きな睡眠のこと。ほとんど理解していなかったようです。
良い睡眠を得るための具体的な方法は応用編をご覧ください。
<参考資料>
櫻井武 睡眠の科学 株式会社講談社 2017年
Shawn Stevenson SLEEP ダイヤモンド社 2017年
Nick Littlehales 究極の睡眠術 ダイヤモンド社 2018年
大谷憲 片平健一郎 最高の睡眠は血流で決まる 株式会社かんき出版 2018年
