乳酸菌は沢山の種類があり、期待される効果もさまざまです。
生菌と死菌、どんな違いがあるのか詳しく調べてみました。
◆目次◆
1.乳酸菌とビフィズス菌
2.生菌と死菌
3.プロバイオテクス、プレバイオテクス、バイオジェニクス
4.シンバイオテクス
5.まとめ
1.乳酸菌とビフィズス菌

善玉菌とも呼ばれる乳酸菌は、糖類などの炭水化物を分解して乳酸を産生する細菌類の総称です。通性嫌気性菌に分類され、酸素が存在していても生育できるため、人の腸管以外に牛乳や乳製品、漬け物など一部の発酵食品、自然界に棲息しています。
乳酸菌は、他の微生物と共生あるいは拮抗することによって腸内環境を一定の状態に保ち続けようとすることに役立っていると考えられています。
乳酸菌とは異なる性質のビフィズス菌は、乳糖やオリゴ糖などを分解して乳酸や酢酸を産生します。しかし、乳酸の割合が50%以下になるため、乳酸菌とは異なる菌となっています。
また、ビフィズス菌は酸素を必要としない偏性嫌気性菌に分類されるため、酸素がほとんどない大腸に99.9%の割合で存在しています。(乳酸菌は0.1%の割合で存在)
ビフィズス菌は乳酸菌の100倍以上多く腸内に棲息し、腸内細菌の約10%(成人の場合)占めていますが、「年を重ねるとともにビフィズス菌が減少していく」という特徴があります。
2.生菌と死菌

乳酸菌とビフィズス菌は、「生きたまま腸に届くと健康によい」と考えられてきましたが、そうとも限らないようです。
〇生菌
プロバイオテクスとも呼ばれ、生きた乳酸菌のこと。
熱や胃酸に弱いので、生きたまま腸に届くのは難しいという特徴があります。ただ、胃酸で分解されてしまっても、善玉菌のエサになることができます。また、生菌でなければ認められない効果もあります。
食品から摂取した乳酸菌の場合、ほとんどが胃酸や胆汁酸によって分解され、死滅してしまいますが、最近ではヒト由来の乳酸菌も開発されているそうです。その種類の乳酸菌の場合、体外へ排出されるまでの間、悪玉菌にとって住みにくい環境を作る働きをしてくれると言われています。ただし、腸内にずっと定着するわけではないので毎日こまめに食べる必要性があると言われています。
〇死菌
バイオジェニクスとも呼ばれ、死滅した乳酸菌のこと。
すでに死んでいる菌なので、熱や胃酸の影響を受けにくいという特徴があります。菌によっては、生きている時よりも効果が高くなる種類もいます。
死菌=菌の死骸は悪玉菌が好む有害物質を吸着し、便として体外へ排出する作用があるそうです。また、腸壁を刺激し免疫力を高めるほか善玉菌のエサとなり、善玉菌そのものを増やす効果に期待できます。
3.プロバイオテクス、プレバイオテクス、バイオジェニクス

食品には「栄養機能(一次機能)」、「風味・嗜好機能(二次機能)」、「疾病予防などの体調調節機能(三次機能)」があります。「体調調節機能」とは、生体防御、疾病予防と回復、体調リズムの調節、老化抑制などの作用があげられます。
体調調節機能をもった食品を機能性食品と呼び、その作用メカニズムの観点から、プロバイオテクス、プレバイオテクス、バイオジェニクスの3つに分けられます。
3-1 プロバイオテクス(probiotics)
プロバイオテクスとは、アンチバイオテクス(抗生物質)に対して提案された用語で、共生を意味するプロバイオシスを語源としているそうです。1989年に、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義され、これが現在でも広く受け入れられています。プロバイオテクスの候補としては乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌が有名ですが、以下のような条件を満たすことが科学的に証明された特定の菌株に限り、プロバイオテクスと考えられています。
プロバイオテクスの条件
①安全性が保障されている
②もともと宿主の腸内フローラの一員である
③胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる
④下部消化管で増殖可能である
⑤宿主に対して明らかな有用効果を発揮できる
⑥食品などの形態で有効な菌数が維持できる
⑦安価かつ容易に取り扱える
プロバイオテクスの持つ有益な効果として、便秘および下痢症の改善効果、乳糖不耐症の改善効果、免疫機能改善による感染防御・アレルギー抑制効果、動脈硬化の予防効果、抗腫瘍作用などが報告されています。
3-2 プレバイオテクス(prebiotics)
プレバイオテクスという用語は、有害な病原性細菌を抑制する抗生物質(アンチバイオテクス)に対して考案されました。プレバイオテクスは、「大腸に常在する有用菌を増殖させるか、あるいは有害な細菌の増殖を抑制することで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分」と定義されていて、オリゴ糖類や抵抗性デンプン、食物繊維類などが当てはまります。
プレバイオテクスに要求される条件
①消化管上部で加水分解、吸収されない
②大腸に共生する一種または限定された数の有益な細菌(ビフィズス菌等)の選択的な基質であり、それらの細菌の増殖を促進し、または代謝を活性化する
③大腸の腸内細菌叢(フローラ)を健康的な構成に都合の良いように改変できる
④宿主の健康に有益な全身的な効果を誘導する
食品成分の中では難消化性のオリゴ糖類が最もよく利用されており、その他としてはプロピオン酸菌による乳清発酵物などがある。プレバイオテクスの機能性については、整腸作用(便通改善)、抗脂血作用、インスリン抵抗性の改善、ミネラル吸収促進作用、尿中窒素低減作用、大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善、アレルギー抑制作用、腸管免疫の増強等が報告されているそうです。またオリゴ糖類のプレバイオテクスの多くは難消化性糖質であることから低カロリーでもあります。プレバイオテクスのほとんどの機能性は大腸での腸内細菌叢の変化を介して発現されると考えられています。
3-3 バイオジェニクス(biogenics)
100年も前からメチニコフ(ロシアの学者)は「生菌」「死菌」のどちらでも腸内で善玉菌を増やすと指摘していたそうです。メチニコフは、マウスを使った実験から、腸内腐敗を抑えるのは乳酸菌そのものではなく、乳酸菌生産物質であると論じています。この物質こそがバイオジェニクスだったのです。
のちに、東京大学の光岡知足名誉教授によってバイオジェニクスと提唱されました。
文献による定義では、「腸内フローラを介することなく、直接生体に作用し、免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍効果、抗血栓、造血作用などの生体調節、生体防御、疾病予防・回復、老化制御などに働く食品成分」と説明されています。
バイオジェニクスの代表格といえるのが、乳酸菌生産物質です。乳酸菌体ペプチド、乳酸菌生産生理活性ペプチド、植物フラボノイド、DHA、EPA、ビタミンA・C・E、β-カロチン、CPPなどの食品成分が該当します。
4.シンバイオテクス

シンバイオテクスは、プロバイオテクスとプレバイオテクスを組み合わせたもので、1995年に提唱されました。腸内フローラのバランスを整える生菌であるプロバイオテクスと、腸内の有用な菌のエサとなるプレバイオテクスを同時に摂取することで、より効果的に腸内環境を改善し、健康増進に役立つと考えられています。
医療の現場では、感染防御や炎症抑制などにシンバイオテクスが応用されているそうです。
5.まとめ

それぞれが良い特徴を持っています。プロバイオテクス・プレバイオテクス・バイオジェニクスを組み合わせて、美容と健康に役立てましょう。
<主要参考文献>
公益財団法人日本ビフィズス菌センター 腸内細菌学会ホームページ
「乳酸菌、宇宙へ行く」 ヘルシスト編集部編
<関連コラム>
・腸内フローラ改善の新常識、腸の働きとバイオジェニクスを中心に。
・腸と腸内細菌と乳酸菌
