人類誕生よりも遥か昔、地球上に細胞の数がたくさんある生物(多細胞生物)が誕生したと言われています。その際、最初に備わった器官は腸で、進化の過程で脳が備わったと言われています。
◆目次◆
1.腸は第二の脳
2.脳腸相関とは
3.機能性消化管疾患
4.腸内細菌と脳腸相関
5.まとめ
1.腸は第二の脳
腸は、独自の神経ネットワークをもっていて、脳からの指令がなくても活動することが可能なことから「第二の脳」とも呼ばれています。
クラゲやイソギンチャクなど脳がなく腸だけがある生物も存在します。
2.脳腸相関とは
脳から腸へ、腸から脳への情報伝達が一方的なものではなく、双方向的に影響を及ぼす現象のことです。
例えば・・・
脳→腸シグナル
ストレスを感じるとお腹が痛くなり、下痢や便秘などの便通異常を生じることがあります。
この現象は、脳が自律神経を介して、腸にストレス刺激を伝えていることを示しています。
腸→脳シグナル
腸管粘膜の炎症やバリア機能障害などになると、脳での不安感が増し、うつ病や意欲がない・食欲不振や睡眠不足など生じることがあります。
腸管には多数の求心性神経(迷走神経・脊髄求心性神経)が分布していて、これらは腸管内腔の情報を中枢神経へ伝達していると考えられています。
このように脳と腸は密接に関連し、脳腸相関研究の歴史は古いとされています。
3.機能性消化管疾患
消化管そのものに炎症やガンなどの異常はないのに、便通異常・腹痛・胸やけ・胃もたれなど腹部の異常に自覚症状があることを機能性消化管疾患といいます。
これは生活の質への関心が高まったこと、そして複雑化する現代社会において増加するストレスがその発症に関与していると考えられています。
通勤途中、急に腹痛になりトイレに駆け込む、会議や試験の前になるとお腹の調子が乱れがちになるといったことはないでしょうか?
機能性消化管疾患には、「機能性ディスペプシア※」・「非びらん性胃食道逆流症」・「過敏性腸症候群」などが含まれます。
便通異常や腹痛・腹部不快感などの症状が長期間続く、悪化と改善を繰り返すなど過敏性腸症候群の方は1,000万人以上と推定されています。
過敏性腸症候群においては、脳→腸シグナル・腸→脳シグナルのどちらの信号伝達の異常になっても症状が生じるとされています。
※機能性ディスペプシア・・・ディスペプシアとは、食後の胃もたれ感、早期飽満感、心窩部痛(みぞおちあたりの痛み)、心窩部灼熱感などの上腹部、特に胃・十二指腸領域に由来する痛みなどの症状を指します。こういった症状があるにもかかわらず、検査などで明らかな異常がないことを機能性ディスペプシアと言います。
4.腸内細菌と脳腸相関
密接に関連している脳と腸ですが、腸内細菌にも関わっていると考えられています。
ストレス負荷を受けた腸管では、腸管の運動だけではなく、腸内フローラにも変化が生じるようです。これは脳内のストレスが腸管に何らかのシグナルを送り、腸内フローラに働きかけているようです。
5.まとめ
そういえば、脳と腸は形状が似てなくないようにも思えてきました。
一見何の関係もない脳と腸、実は互いにシグナルを与えているようです。
胃腸が弱い方は、食事だけではなく、ストレスなどをためないようにすることも大事です。
たくさん笑うと幸せホルモンセロトニンが出て、ストレス軽減になるそうですよ。
<参考資料>
脳腸相関 編集 内藤裕二 医歯薬出版株式会社 2018年
<関連コラム>
腸内フローラ改善の新常識、腸の働きとバイオジェニクスを中心に。
免疫のしくみを知ろう!
腸と腸内細菌と乳酸菌
生菌と死菌の違い。乳酸菌は奥が深い。
